F1ハンガリーGPの2位は、1997年にアロウズに移籍したデイモン・ヒルの唯一のシーズンにおけるベストリザルトだった。しかし、ディフェンディングチャンピオンとしてこのシーズンに臨んだドライバーは、トロフィーを手にしたくないと思うのも無理はない。ヒルはアローズにとってF1での20年目のシーズンで初めてとなる衝撃的な勝利を収めるまであと1周と迫っていた。
ヒルは10周目にトップに立ち、グッドイヤー・タイヤでトラブルに見舞われた元チャンピオンシップのライバル、ミハエル・シューマッハをセンセーショナルにパス。ブリヂストンを履いたアロウズは最終ラップまでトップをキープした。しかしレース後半、アロウズA18に油圧系のトラブルが発生。ファイナルラップでジャック・ヴィルヌーヴがヒルに襲いかかり、優勝は逃したものの、アロウズのドライバーはジョニー・ハーバートに11秒差をつけて2位でチェッカーを受けた。ヒルは翌年、ジョーダンで通算22回目、そして最後のグランプリ優勝を果たしたが、アロウズにとっては2位が最高位であり、これが彼らの8回の表彰台フィニッシュの最後となった。ヒルがチームのためにポイントを獲得したのはこれが2度目で最後であり、ウィリアムズが1996年のタイトル争い中、翌年はチームのためにドライブしないというサプライズ発表を行った後、チームに移籍した。ハンガロリンクの表彰台でヒルが受け取ったトロフィーは、彼が所属していたアロウズが保管していたようだ。その資産は2003年にオークションで売却された。開始価格1,600ポンドで売りに出しているザ・セール・ルームによれば、現在の所有者が同年に入手したものだとしている。