FIA(国際自動車連盟)は2026年F1パワーユニット規則に導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)の改定を正式承認した。今回の変更によって、2026年F1シーズン序盤に苦戦しているホンダは、大規模な追加開発支援を受けられる可能性が高まった。追加されるのは、ベンチテスト時間だけではない。予算面でも総額約30億円規模の支援が認められる可能性があり、アストンマーティンとのプロジェクト立て直しに向けた重要な後押しとなる。
ホンダに追加される230時間のベンチテスト今回のADUO改定で最大の変更点となったのは、「基準エンジンより10%以上遅れているメーカー」に対する新カテゴリーの追加だ。これまでの規則では、8%以上遅れているメーカーに対して190時間の追加ベンチテストが認められていた。しかし改定後は、新たに10%以上のカテゴリーが設けられ、最大230時間まで拡大された。現時点で、この新カテゴリーに該当するとみられているのがホンダだ。FIAはADUOの評価において、パワーユニット全体ではなく、内燃エンジン単体の性能を基準としている。現在の基準はメルセデスで、550馬力を超える出力を持つとされる。一方、ホンダは内燃エンジンで60〜70馬力不足していると報じられており、10%以上の差に達している可能性がある。そのため、新設された230時間枠は、事実上ホンダを想定した救済措置だとの見方が強まっている。総額約30億円規模の追加支援ADUO改定では、財務面の支援も大幅に拡張された。10%以上遅れているメーカーには、今後2年間で1100万ドル(約17億1600万円)の追加予算枠が認められる。さらにFIAは、2026年限定の特例措置として、追加で800万ドル(約12億4800万円)の開発予算を使用できるルールも導入した。合計では1900万ドル、日本円で約29億6400万円規模の追加支援となる。コストキャップ時代のF1において、これは非常に大きな金額だ。エンジン開発競争への影響も小さくない。FIAは“救済しすぎ”を警戒The Raceによると、FIAと各PUメーカーは先週からホンダ支援策について議論を重ねていた。ライバルメーカー側も、「大手メーカーが最後尾で苦戦し続ける状況はF1全体にとって好ましくない」として、一定の支援には理解を示していたという。しかし一方で、支援制度が“最後尾から一気にトップへ跳ね上がるための武器”になってしまうことへの警戒感も強かった。そのため、マイアミGP週末には一度採決が延期され、FIAが支援内容を再精査する事態となった。最終的にFIA世界モータースポーツ評議会は改定案を承認。ホンダ向けの支援を拡大しながらも、“過剰救済”にならない水準へ調整した形となった。最初のADUO判定はカナダGP後FIAは同時に、ADUO評価タイミングの変更も正式承認した。当初、最初の判定は第6戦後に行われる予定だった。しかしバーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によって、第6戦がモナコGPへ変更されたため、「支援開始が遅すぎる」という問題が浮上した。その結果、初回判定は第5戦カナダGP後へ前倒しされた。今後の判定タイミングは、■ 第5戦カナダGP後■ 第11戦ハンガリーGP後■ 第18戦メキシコGP後となる。2026年F1シーズン序盤、アストンマーティンとともに厳しい戦いを強いられているホンダだが、今回のADUO改定によって巻き返しに向けた開発余地は大きく広がることになる。Source: The Race