ジョージ・ラッセルは、自身に有利な条件を引き出すため、メルセデスから提示された複数の契約オファーを拒否しているようだ。メルセデスはラッセルとの契約延長発表の時期を公式に明言していなかったが、パドック内では9月中に発表されると見られていた。しかし、現時点でそれは実現していない。
メルセデスはいまだにイギリス人ドライバーとの新契約を発表しておらず、署名がいつ行われるのかも不明のままだ。RacingNews365とFormula.huの報道によると、ラッセルはメルセデスから複数のオファーを受け取っているものの、その都度これを退けているという。複数回の提示を経ても、ラッセルは提示内容のいくつかの点で改善を求めている。複数回のグランプリ優勝経験を持つラッセルは、単に給与面での引き上げを求めているだけでなく、契約条件そのものの見直しも希望している。その中には、契約期間の長さや、ドイツメーカーであるメルセデスのために行わなければならないマーケティング活動日数の調整といった要素も含まれているという。それでも、両者が最終的に合意に達するだろうという見方が依然として強い。ラッセルとメルセデスの双方に、他に現実的な選択肢がないからだ。両者の間には継続の意思があると見られるが、問題は「いつ合意に達するか」という点にある。今回の交渉で興味深いのは、ラッセルの積極的な姿勢だ。彼がこれほど強気に交渉できるのは、トト・ヴォルフがマックス・フェルスタッペンに関心を示しているという噂と関係があるのか、それとも単にチームとラッセルの見解の違いなのか。ドライバーが同じチームに長く在籍すると、義務的なマーケティング活動の日数は減少し、その代わりに給与は大幅に上がる傾向がある。これはチームがドライバーのパフォーマンスを守り、トップレベルを維持させるための措置とされている。ラッセルとメルセデスの交渉内容からは、チームが彼を引き留めるために過度な譲歩をするつもりがないことがうかがえる。かつてルイス・ハミルトンに対して行っていたような特別待遇とは異なる対応だ。その違いの一因として、ラッセルがまだワールドチャンピオンではないことが挙げられるだろう。彼自身はキャリアのピークに差しかかっていると感じており、その成果を得たいと考えている。メルセデスは現在、ラッセルに年間60日間のマーケティング活動を求めているが、ラッセル側はさらにその日数を減らすよう要求している。さらに、契約期間についても依然として議論が続いており、ラッセルは柔軟な姿勢を示している。1年契約でも構わないが、特定の条件条項を盛り込みたいと考えているのだ。その条項とは、翌年にチームメイトのキミ・アントネッリを上回った場合、自動的に契約が延長されるという内容である。とはいえ、現時点でメルセデスにとってより有力なドライバー候補はいないのが実情だ。交渉がまとまれば、ラッセルとアントネッリが同時に発表される見込みである。アントネッリはすでにチームとの複数年ジュニア契約を結んでおり、あとはブラックリー拠点のチームからの公式発表を待つのみとなっている。