2025年のF1シーズンは全24戦中12戦を終え、ちょうど折り返し地点を迎えた。マクラーレン内でのチームメイト同士の戦いから、ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍まで、ファンを魅了し、専門家たちの議論を呼ぶ瞬間が数多くあった。F1.comは、後半戦が始まる前に、複数のF1レジェンドたちに個別に話を聞いた。その面々は、2009年のワールドチャンピオン、ジェンソン・バトン、1997年王者のジャック・ヴィルヌーヴ、13勝を挙げたデビッド・クルサード、3勝のジョニー・ハーバート、そして表彰台12回のステファン・ヨハンソンだ。
果たして彼らは、これまでのシーズンについて何を感じ、残りの12戦をどう見ているのか。その声を紹介しよう。シーズン前半はアクション満載で、雨のオーストラリア開幕戦から始まったQ:ここまでのシーズンをどう見ていますか?ジェンソン・バトン:今シーズンはとても楽しんでいる。1チームだけがタイトル争いをしているような年は退屈になりがちだが、マクラーレンの2人が自由にレースしているのが最高だ。彼らの戦いをトラック上で見られるのはすごく楽しい。それに、他のドライバーも勝っている。マックスがレースに勝ち、ジョージも勝利し、ルイスは中国のスプリントで勝った。いろんな顔ぶれが揃っていて、グリッド全体に変化があるのがいい。この2年で大きく飛躍したのは、マクラーレンとウィリアムズだと思う。マクラーレンはフロントランナーに、ウィリアムズは最後尾からミッドフィールドへ。レギュレーション変更なしでこれをやってのけるのは本当にすごいことだ。ジャック・ヴィルヌーヴ:面白いシーズンだ。こういうのがF1に求められている。チーム内の争いがあるなら、そのチームが前を走っていても構わない。以前はマックス1人だけだったから、チームメイトとの差が面白さを削いでいた。でも今は、マクラーレンの2人が競り合っていて、お互いにポイントを奪い合っている。他のドライバーにもチャンスが回ってきて、戦いが活性化している。デビッド・クルサード:マクラーレンのファンなら今季は最高だろうし、そうでなくても素晴らしいシーズンだと思う。特に予選の接戦ぶりが際立っている。決勝になると多少差は開くが、それでも全体的に接近していて本当に面白い。完璧な“映画的シーズン”にするには、フェラーリがもう少し頑張る必要がある。ルイスのスプリント勝利は確かに盛り上がったが、決勝では失格だった。あと、僕はマクラーレンの2人がいずれ接触すると思っていた。僕自身、かつてミカ・ハッキネンと接触したし、彼も僕に突っ込んだことがある。どれだけチーム仲が良くても、両者が勝てる立場にいると、やっぱり難しくなるものだ。ジョニー・ハーバート:これからプレッシャーが増していく中で、チャンピオン争いがどうなるか注目している。今はまだ“ポイントを集めつつ、無理をしない”段階だが、ここまではすごく良い。オスカーとランドの接戦もいいし、マックスも食い込んできて、時折メルセデスのジョージも入ってくる。良い意味での混戦になっている。ステファン・ヨハンソン:今のF1ドライバーのレベルは、史上最高かもしれない。本当に速くて、レベルの高いドライバーが揃っている。オスカーとランドは予選でコンマゼロ台の差で争っていて、そこにマックスやジョージ、フェラーリ勢も時折加わる。トップから最後尾まで、これほど接近したF1は今までになかったと思う。驚異的なシーズンだ。スチャンピオンシップ中間地点で、ピアストリとノリスの差はわずか8ポイントQ:ピアストリとノリスの戦いをどう見ていますか?ジェンソン・バトン:オーストリアはランドにとって本当に重要な週末だった。もし勝てない状態が続いていたら、精神的にかなりきつかったはずだ。彼は自分に強くプレッシャーをかけるタイプで、小さなミスにも過剰に反応してしまう。信じられないほど速いドライバーだが、ミスをした時に自分を責めすぎる傾向がある。でも、レースというのは勝つより負けるほうが多いものだ。それを理解することが大事だと思う。彼のキャラクターは好きだし、本当に速いドライバーだと思っている。オスカーはまったく違うタイプだ。すごく冷静で、何があっても動じない。その分、非常に手強い相手になる。彼のようなドライバーと戦うのは、簡単ではない。ジャック・ヴィルヌーヴ:この戦いは本当に面白い。2人とも性格が全然違っていて、どちらが勝ってもおかしくない。今のところ、スピードに関してはランドが少し上回っていると思うが、彼は自己批判が強すぎるところがあって、それが自分にダメージを与えてしまっているように見える。一方のピアストリは、シルバーストンで初めてペナルティを受けてから態度が変わったように感じた。チャンピオン争いに加わると、自然とアプローチの仕方も変わってくる。ランドはすでにチャンピオンシップをリードしたり、追いかけたり、巻き返したりと、いろいろな状況を経験している。でも、ピアストリはまだ未知数な部分がある。ある状況で彼がどう反応するのか、それが強みに出るのか、弱みに出るのか。それを見るのが楽しみだ。デビッド・クルサード:もしこれが「前半だけのチャンピオンシップ」だったら、オスカーが優勝していたと言っていい。実際、カナダでマクラーレンの2人が接触するまでは、彼がリードしていた。でも後半でランドが巻き返すことができれば、それはキャリア3年目の才能あるドライバーに対して勝つという意味になる。これは2021年と似ている。当時もマックスとルイスが両方ともチャンピオン並みの走りをしていたが、タイトルを獲れるのは1人だけだった。マクラーレンはこの状況をうまくマネジメントしていると思う。彼らの2人は、野性的というより理性的なタイプなので、それが争いを穏やかに保っている要因かもしれない。でも、これが彼らにとって唯一のチャンスになる可能性もある。2026年のレギュレーション変更がどうなるかは誰にも分からない。だからこそ「今」を最大限に活かす必要がある。オスカーは今年、見事にステップアップしてきたが、それに対してランドもここ2戦で応えている。このままいけば、2人ともタイトルにふさわしいが、勝てるのは1人だけだ。ステファン・ヨハンソン:この戦いは最終戦までもつれると思う。スピードに関しては本当に拮抗しているので、勝敗を分けるのはレースクラフトや状況判断、そして不用意なミスを避けられるかどうかだ。シルバーストンでのオスカーのペナルティが妥当だったかどうかは議論の余地があるが、ああいった出来事や、モントリオールでのランドのインシデントなどが、最終的にシーズンの流れを左右する可能性がある。タイト...
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