2025年F1サンパウロGPは、いよいよ本日11月9日(日)に決勝を迎える。舞台はブラジル・サンパウロのアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(通称インテルラゴス)。スプリントフォーマットが採用された今週末は、金曜にフリー走行とスプリント予選、土曜にスプリントとグランプリ予選が行われ、いよいよ本日、シーズン終盤を占う重要な決勝レースがスタートする。
タイトル争いは残り4戦を切り、わずか1ポイント差での首位攻防という大混戦。歴史とドラマの詰まった名物サーキットで、運と技術、そして戦略が交錯するタイトル決戦が幕を開ける。伝統と難所が共存する“逆走コース”1973年に初開催を迎えたインテルラゴスは、4.309kmの短い反時計回りのサーキットだ。アップダウンの激しい地形とテクニカルな中盤セクション、そして長い最終ストレートが特徴で、全71周のレースではタイヤマネジメントとリズム感が試される。ジョリオン・パーマー(元ルノーF1)は「第1コーナーはブレーキングを遅らせやすいが、行き過ぎるとすぐロックアップする。中盤は連続する右コーナーで1つミスするとすべてが崩れる。最終コーナーは立ち上がりが命」と語る。ドライバーにとっては首への負担も大きい「フィジカル・トラック」としても知られる。サーキットデータ■ 初開催:1973年■ 全長:4.309km■ ラップレコード:1分10秒540(バルテリ・ボッタス/2018年)■ 最多ポール:アイルトン・セナ、ミカ・ハッキネン、フェリペ・マッサ、ルーベンス・バリチェロ、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン(3回)■ 最多勝利:ミハエル・シューマッハ(4勝)■ 2024年オーバーテイク数:72回■ セーフティカー発生率:86%■ ピットロス:20.8秒ピレリのタイヤ戦略ピレリは今年、2023年と同じくC2・C3・C4(ハード〜ソフト)を持ち込む。昨年は全面再舗装により路面が滑らかになり、リアのグレイニングと摩耗が問題になったが、今回は「より耐久性の高いコンパウンドを選定することで、ソフトタイヤも決勝で選択肢になりうる」としている。インテルラゴスは前後バランスの取れたコーナー配置を持ち、ストレートと低速セクションが混在することから、オーバーテイクのチャンスも多い。その一方でバンプが多く、天候も不安定。雨の確率が高く、ウェットタイヤの使用も十分に想定される。直近の勝者とポールシッター■ ポールポジション2025年:ランド・ノリス(マクラーレン)2024年:ランド・ノリス(マクラーレン)2023年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2022年:ケビン・マグヌッセン(ハース)■ 優勝2024年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2023年:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)2022年:ジョージ・ラッセル(メルセデス)フェルスタッペンは昨年、17番手スタートからの豪雨逆転勝利を果たしており、“インテルラゴスの魔術師”ぶりを見せつけている。チャンピオンシップの行方残り4戦となった2025年シーズン。メキシコGPで優勝したランド・ノリスが4月以来となるランキング首位を奪還したが、僅か1ポイント差でチームメイトのオスカー・ピアストリが続く。3位のフェルスタッペンも36ポイント差まで接近し、三つ巴の争いは激化している。ノリスは「モメンタムを維持できている」と自信を見せるが、ピアストリは4戦連続表彰台を逃しており、巻き返しに燃える。一方、レッドブルのフェルスタッペンは雨が絡む展開では依然として最有力。昨年同様のコンディションとなれば、タイトル争いに再び火をつける可能性が高い。チーム間バトルの焦点コンストラクターズ争いでは、フェラーリとメルセデスの2位争いが接戦を続ける。レッドブルは1戦で順位を巻き返すチャンスを狙っており、両チームとの直接対決が注目される。中団では、ウィリアムズが依然として5位を堅持。レーシングブルズ、アストンマーティン、ハース、ザウバーがわずか12ポイント差の中でP6を争っており、週末の結果次第で勢力図が大きく動く。伝説の瞬間:1991年セナの涙1991年、母国ブラジルで初勝利を挙げたアイルトン・セナのドラマは、今も語り継がれる。ギアボックスが壊れ、ほぼ1速固定のまま雨中を走りきったセナは、首を上げることもできぬままチェッカーを受け、歓喜と痛みが入り混じる涙を流した。インテルラゴスはその瞬間から“魂のサーキット”として、ブラジル人のみならず世界中のファンの心に刻まれた。
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