2026年からF1に参戦するアウディは、スイス・ヒンウィルとドイツ・ノイブルクという2拠点体制でプロジェクトを進める。この体制について、距離が開発の障害になるのではないかという見方もあるが、アウディF1プロジェクト責任者のマッティア・ビノットは、その懸念を明確に否定している。ビノットは、距離の問題に対する「成功例」としてレッドブル・レーシングを挙げた。
近年タイトルを獲得してきたレッドブル・レーシングは、パワーユニット関連の拠点が日本、シャシー開発はイギリスと、アウディ以上に離れた体制で成功を収めてきたという。「2社間の距離が問題になるとは思っていない。周囲を見渡せば、フェラーリを除くほとんどのチームは、パワーユニットとシャシーで異なる拠点を持っている」とビノットはRacingNews365の独占インタビューで語った。レッドブル・レーシングの成功が示す“距離の克服”ビノットは、レッドブル・レーシングの事例を具体的に引き合いに出した。「レッドブル・レーシングは近年、パワーユニット拠点が日本、シャシー拠点がイギリスという体制でタイトルを獲得してきた。彼らにとってそれが成立し、成功しているのであれば、ヒンウィルとノイブルク間の約3時間の移動が障害になることはない」アウディは、旧ザウバーの本拠地であるヒンウィルをシャシー開発の拠点とし、新設されたノイブルクの施設で自社パワーユニットを開発する。構造的には、すでにF1で成功してきたモデルに近いと言える。最大の課題は“スピード”現時点でのプロジェクトの進捗について問われると、ビノットは率直にこう答えた。「チームが発展しているやり方には満足している」ビノットによれば、アウディがザウバーを引き継ぎF1参戦を決めて以降、さまざまな困難があったが、その中でも最も大きく、今も続いている課題は「意思決定と開発のスピード」だという。「ザウバーは、これまで素晴らしいプライベートチームだった。だが目標もリソースも、これから我々が目指すものとは異なっていた」「成功するチームになるために重要なのは開発のスピードだ。すべてはスピードであり、そこを最も強く変えようとしている」外からは見えない成果ビノットは、短期間で得られた成果に強い手応えを感じていると明かした。「数カ月で達成されたことを見ると、非常に満足している。これは何百万人ものファンには見えないが、ファクトリーにいる我々には見えている」「彼らは優秀で、有能な人たちだ。目標が明確になり、全体が動き出せば、信じられないほどの成果を出している」技術や設備よりもまず“速さ”最後にビノットは、課題を整理しつつも、最優先事項を再確認した。「もちろん技術も、キャパシティも、ツールも課題として挙げられる。長いリストになるだろう。だが私にとって、最初に来るのはスピードだ」アウディは、レッドブル・レーシングの成功例を道しるべにしながら、2026年F1新時代に向けて“速さ”の改革を進めている。距離は問題ではなく、いかに迅速に動けるか。その一点が、プロジェクトの成否を左右することになりそうだ。
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