クリスチャン・ホーナーの電撃解任とともに、ローラン・メキースが新たにチーム代表に就任したことで、レッドブルの将来、とりわけマックス・フェルスタッペンと角田裕毅の去就に注目が集まっている。2024年初頭に浮上したホーナーに関するスキャンダルは、レッドブル内部に大きな亀裂を生じさせた。とりわけフェルスタッペン陣営とホーナーの対立は深刻で、チームの方向性をめぐる主導権争いにまで発展していた。
当時、ホーナーはレッドブルCEOの支持を受けて立場を守ったが、ここ数か月で状況は一変した。メルセデスとの契約交渉が進行中とされるフェルスタッペンをチームに留めるべく、レッドブルは大胆な手を打った。ホーナー排除はフェルスタッペン陣営の要求に応じた動きとされており、ローラン・メキースのチーム代表就任もその一環とみられている。メキースは2024年にファエンツァ拠点のVCARB(レーシングブルズ)でチーム代表を務め、角田裕毅の活躍を高く評価していた人物でもある。「ブラジルで3位、ラスベガスで7番手。速いクルマに乗る準備は十分にできている」とメキースは昨冬語っており、角田裕毅のF1トップチーム昇格を強く推していた。結果的にレッドブルは2025年のシートにリアム・ローソンを抜擢したが、メキースが角田裕毅を信頼する姿勢は変わっていない。こうした背景から、メキース体制のもとでは角田裕毅にも再びチャンスが巡ってくる可能性がある。今シーズン途中のドライバー交代は現実的ではないものの、2026年のシート争いでは有利な立場を得ることになるだろう。重要なのは、これまで角田裕毅の能力に懐疑的だったホーナーと違い、メキースは彼を「投資に値するドライバー」と見ている点だ。一方、フェルスタッペンに関しては、メキース就任により2026年以降の残留可能性が高まったとする見方もある。とはいえ、確定ではなく、メルセデス移籍の可能性は依然として排除できない。レッドブルの今後の課題は、マクラーレンとのタイトル争いを早々に見切り、2025年後半はRB21の挙動安定化に注力すること。そして、2026年の新レギュレーションに向けて期待を上回るマシン開発を進めることだ。今季のダメージを最小限にとどめながら、来季以降の競争力確保を目指すなか、メキースの下でドライバーラインアップがどのように固まっていくか、注目される。