マックス・フェルスタッペンがメルセデスへ移籍を希望した場合、レッドブルはそれを阻止しない構えだと、ドイツのF1専門メディア「f1-insider.com」とイタリアの有力紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」が報じた。この報道は、4度のワールドチャンピオンであるフェルスタッペンとメルセデス代表トト・ウォルフが、イギリスGPとベルギーGPの間にサルデーニャでそれぞれのヨットを使って会談を行ったという憶測の直後に浮上したものだ。
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは次のように指摘する。「契約の最終交渉をするのに、わざわざ休暇先を使う必要はない」さらに、フェルスタッペンの交際相手ケリー・ピケの兄であるネルソン・ピケJrも、何かが進行中であることを認めている。「彼らは交渉中だ。みんな知っていることだよ」「契約の細かい部分がまだ詰め切れていないけど、それが選択肢の一つであることは誰もが知っている」と、ピケはブラジルの番組『Pelas Pistas』に語った。フェルスタッペン自身はレッドブル残留を望んでいるとしつつも、クリスチャン・ホーナーの突然の解任が、チーム内の機能不全を象徴していると指摘する。「レッドブルは重要人物の確保や維持に苦労していると聞いている」「ある種の“マックスの父親に関する小さな問題”が表面化し、それを嫌がった人たちもいた。ホーナーがチームに関わり続ける限り、主要な人材を取り戻すのは難しくなるだろうという声もあった」とピケは述べた。そして、ホーナーが権力を拡大しようとしすぎたことが最大の問題だったとする見方もある。「体制を分権化しようという提案もあったが、ホーナーはそれを拒否した。彼は2チームの運営も、エンジンも、すべてを掌握したがっていた」「もし彼がすべてを手に入れていたら、それは大きな後押しになっただろう。でもそうならなかった場合、彼は約1億ドル(約160億円)の巨額な退職金を受け取ることになる」現時点でもレッドブルはホーナーの退任条件について交渉を続けているとされ、メルセデスCEOオラ・ケレニウスがウォルフにフェルスタッペン獲得の「ゴーサイン」を出したという報道もある。ガゼッタ紙によれば、交渉はいずれにせよ8月末までに決着し、夏休み明けに正式発表される見通しだという。フェルスタッペン加入が決まった場合、ジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリのいずれがメルセデスを離れるかは未定。ただしウォルフは、アントネッリを2026年にメルセデスPUを搭載するアルピーヌに“レンタル”する案に前向きだとされている。ラルフ・シューマッハは次のように続ける。「シルバーストンでの結果を見て、マックスはレッドブルがどれだけ努力しても状況を好転させられないと悟ったと思う」「結局のところ、彼のキャリアがかかっているのであって、忠誠心の問題じゃない。メルセデスが本気で彼を迎えたいと示せば、彼は移籍するはずだ」「メルセデスにとっても、同じエンジンを使っているマクラーレンに負け続けるのはつらい話だ。マックスがいれば、2026年には再び力関係を逆転できるだろう」一方で、レッドブルとしてもフェルスタッペン引き留めの最後の望みをかけて、今季中のアップグレードを投入する構えだ。新パーツはスパとハンガリーの2戦で登場する予定となっている。「まだシーズンの半分とスプリントが4回残っている」と、レッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコは語る。「ベルギーの改良パーツでマクラーレンに近づけるはずだ。我々はまだタイトル争いが終わったとは思っていない」