宮田莉朋が2024年のFIA フォーミュラ2選手権に参戦するロダン・モータースポーツ6号車のトヨタGRカラーが話題を呼んでいる。2023年のスーパーフォーミュラ、スーパーGTの両方を制して、史上最年少24歳でダブルチャンピオンを獲得した宮田莉朋は、今年もトヨタのドライバー育成プログラムであるTGR WECチャレンジへの参加を継続しながら、F1直下の最上位カテゴリーであるFIA フォーミュラ2に参戦する。
2月11日から14日にバーレーンで開催されたFIA フォーミュラ2選手権のプレシーズンテストでは、宮田莉朋が所属するロダン・モータースポーツの6号車はトヨタGRのブラックのカラーリングが施された。すでにソーシャルメディアでは今季のF2のベストカラーリングだとの呼び声も高く、カーボン剥き出しのF1マシンとは異なるブラックを称賛する声もある。近年、FIA フォーミュラ2選手権は、参戦する育成ドライバーたちが、F1チームのカラーリングやスポンサーカラーを施されたマシンで参戦する傾向があり、レッドブル、アルピーヌ、ウィリアムズ、ザウバー、マクラーレンと似たカラーリングのマシンが多い。トヨタは、2017年に「GR」シリーズを市販車に投入。同社のモータースポーツ活動を通じた知見やノウハウを注ぎ開発したスポーツカーシリーズと位置づけ、その一方で、モータースポーツには『TOYOTA GAZOO Racing』の名前で参戦。そして、今年の世界ラリー選手権(WRC)、FIA 世界耐久選手権(WEC)では、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりに繋がっていく“プロトタイプ”として、マットブラックのカラーリングを打ち出した。自動車メーカーは、モータースポーツカテゴリーをまたいで車両のカラーリングを統一する動きが加速しており、フェラーリとアルピーヌはF1とWEC、マクラーレンはF1とインディカーとフォーミュラEなどでカラーリングを統一。フェラーリと言えば赤、アルピーヌと言えば青、マクラーレンと言えばオレンジといったイメージを強く主張している。今回の宮田莉朋のトヨタGRカラーでのフォーミュラ2参戦は、トヨタのF1復帰を期待する声さえある。トヨタは2009年の撤退以来F1から遠ざかっているが、今年は平川亮をマクラーレンF1チームのリザーブドライバーに送り出すとともに、マクラーレンとトヨタで育成ドライバー組織で提携。また、宮田莉朋をF2に参戦させることで、F1ドライバーに到達できる道筋を敷くとともに、F1に参戦していなくとも、露出の多いF1に関連するパブリシティを得ることができている。トヨタのブラックを打ち出す戦略のひとつであり、赤と白のTOYTA GAZOO RacingとGRのロゴが日の丸=日本をイメージさせる点でも秀逸だ。WRC、WEC、そして、宮田莉朋がF2で活躍すれば、スポーツカーブランドとして、日本のトヨタ、GRのブランディングを確立することができる。