小林可夢偉が、将来のF1シート獲得への意気込みを語った。兵庫県出身で22歳の小林可夢偉は、F3ユーロシリーズからステップアップした初年度の今シーズン、GP2アジアシリーズとGP2の両方で優勝を果たした。トヨタF1チームのサードドライバーを務める彼は、テスト走行での仕事を通じて今シーズンのチームの好調振りにも貢献。既に今年はGP2のレースを30戦走り、また、トヨタF1チームのために11日間のテストをこなしている。
「小さな頃からF1ドライバーになることを夢見てきた」と可夢偉は語る。「いわゆるTDPオーディションに14歳で合格し、それ以来ずっとトヨタと共にある。こうした環境で仕事ができることがどれほど幸運なことなのかは十分に理解している。特にそれがプレッシャーにはなっていないが、ただし、自分自身には常にプレッシャーを与えているし、また、これほどのレベルに到達できた自分が、他人より遥かに幸運だったということを忘れてはいない」「今はF1でのレースに近づいているし、そこまでなんとか突破しようと努力している。世界で僅か20人のドライバーしか参加できないF1という舞台に立つということが、どれほど素晴らしいことなのか理解している」トヨタF1チームのチーム代表の山科忠は、日本人という理由で小林可夢偉を優先的に扱うことはないと語る。「トヨタのクルマに日本人ドライバーが乗り、選手権を勝ち取るのは我々トヨタの夢だ。そして現在、我々にはテストドライバーの小林可夢偉がいる。チームは彼をすぐ後ろで支えており、彼がトップドライバーになれることを期待している。ただし、私が彼を優先的に扱うことは決してないし、彼が日本人だからという理由で我々のクルマをドライブさせることもない。彼には一生懸命働き、そして実力でそこまで辿り着け、と言っている」TMG副社長の木下美明は「彼は素晴らしく聡明だ。特に突出しているのは彼の最初の周回だ。レースがスタートした直後の1周目に、ドライの状況なら3台は抜いてくるし、ウェットの場合なら7台から10台も抜いてくることがある。私はこれまでこんなドライバーは見たことがない」と可夢偉を評価。また、技術コーディネーション担当ディレクターの新居章年も小林可夢偉を評価する。「ドライバーとしてのスキルと判断力の部分について、彼は大きく向上している。彼がこの調子を続けることができて、そしてレースで良い結果を出してくれるのであれば、私としては何も不満はない」