2025年F1スペインGPの週末に先立ち、木曜恒例のドライバー記者会見が行われた。登壇したのは、ホームレースを迎えるカルロス・サインツ、前戦モナコGPで優勝を飾ったランド・ノリス、そして今季ルーキーのオリバー・ベアマンの3名。サインツはウィリアムズ移籍後初の母国レースでの意気込みを語り、ノリスはモナコでの勝利を振り返りながらも冷静に課題を分析した。
会見では、今週末から適用される新たなフロントウイング技術指令の影響や、近年批判の声も多いモナコGPの将来像、そしてアレックス・パロウのF1適性など多岐にわたるテーマが議論された。特にサインツは、日曜のレース改善に向けた「ドライバー主体の議論」の必要性を訴え、現役ドライバーならではの現場目線を強調した。Q:カルロス、ホームレースですね。昨夜のファンフォーラムでは素晴らしい歓迎を受けていました。チケットは完売。特別な思いがあるのでは?カルロス・サインツ:うん。みなさんこんにちは。ちょっと疲れてるんだ。遅刻しそうだったから走ってきて、罰金は避けたかったしね。でもここにいられて嬉しいよ。昨日のファンフォーラムはすごく良かったし、地元のファンからたくさんのサポートをもらえて、本当にいい気分になった。なんというか、毎年ここに来るとポジティブなエネルギーをもらえるんだよね。気分が明るくなるし、どこに行っても応援の声が聞こえてくるのは最高の気分だよ。毎年ホームレースがあることに幸せを感じてるし、今週末は楽しみながら、いい結果を出して、ファンにいいレースを届けたいと思ってる。Q:FW47はこのサーキットで笑顔を与えてくれると思いますか?サインツ:うーん、もしFW47のために理想的なサーキットを設計するとしたら、バルセロナにはならないと思う。うちのクルマは中速で長いコーナーがあまり得意じゃないからね。でも希望はあるよ。ここでは、これまでの数年間でチームがどれだけ進歩したかを示すこともできる。去年のチームはここで19位と20位だったし、2020年以来Q3に進出してない。Q2に行けたのも2021年が最後だった。それだけここが難しいサーキットだってことだよ。でも、今年のクルマはそういうタイプのコーナーでも良くなってるから、もっといいパフォーマンスが見せられると自信を持ってる。Q:今週末から導入されるFIAの技術指令についてはどうですか? チームからはどんな影響があると聞いていますか?サインツ:うん、これについては当然いろんな話が出てるよね。でも、世間で騒がれてるほどの影響はないと思うし、それほど大きな変化でもないと思う。フロントウイングはこれからもフロントウイングだし、少し硬めになって、前ほどたわまなくなるだけ。チームによってどれだけ柔軟に使っていたか次第だけど、影響はあっても1コンマ1秒程度じゃないかな。Q:でもその1コンマ1秒で、グリッド上では4ポジションの差になりますよね?サインツ:確かにそうだね。特に僕らがいるミッドフィールドだと、余計にその通りだよ。Q:その技術指令によって、マシンのバランス取りが難しくなりますか?サインツ:多少は難しくなると思う。でも今のF1では、メカニカル面でもエアロ面でも調整する手段がたくさんあるから、そこまで心配してない。FP1でどんな状態かを見て、そこから調整していけばいい。各チームもシミュレーターで新しいウイングを使ってたくさん走ってきてるはずだからね。そういう変化に対応できる準備は、どのチームもできてると思う。Q:ありがとう、カルロス。では次は直近の優勝者ランドへ。モナコGPの後、プリンス・ボールに出席されたと聞きました。どんな夜でしたか?ランド・ノリス:うん、素敵なディナーだったよ。本当に楽しかった。メインテーブルに座れて、それだけでも光栄だったしね。あそこに行けるのは、基本的には優勝したドライバーだけだから、それだけでも特別な気分になれるんだ。殿下と会話もできて、リラックスした時間を過ごせたし、美味しい料理も食べられた。週末を祝うのにふさわしい夜だった。Q:モナコでの勝利から少し時間が経ちましたが、今振り返ってみて、これまでのF1での勝利と比べてどうですか?ノリス:うーん、それぞれ違った特別さがあるけどね。最も激しい戦いだったかって言うと、たぶん違う。でも、それがモナコなんだ。一番プレッシャーのかかる土曜日、一番みんなが勝ちたいと思ってるレース。そういう意味では、最も意味のある勝利だったと思う。週末全体の雰囲気、サーキットの歴史、過去の優勝者たち――そういうものを全部考えると、これは「F1でのただの勝利」ではない、って言えるよ。間違いなく誇れるものだし、ずっと記憶に残ると思う。Q:週末を通してとても落ち着いているように見えました。ポールを取った後も、勝った後も冷静でした。それは実際の気持ちにも合っていましたか?ノリス:クルマの中では全然そんなことなかったよ。特に予選はね。モナコの予選って、年間で一番スリリングで、一番怖くて、一番不安なセッションなんだ。でも同時に、ラップを終えたときに一番笑顔になれる。土曜日は完璧だった。日曜日のレースはいつも見応えがあるとは限らないけど、いろんな理由でいいレースだと思ってる。Q:今週末のTD(技術指令)についてですが、MCL39への影響は心配していませんか?ノリス:まったくないよ。Q:セッティングについて、エアロバランスに変化があってドライビングが難しくなったりはしませんか?ノリス:カルロスが言ってた通りで、ちょっとした調整はあるけど、特別なことをやらなきゃいけないような変化は何もない。Q:ありがとう。それではオリー、次はあなたです。数年前にF2のフィーチャーレースでこのバルセロナで勝ちましたね。まずはこのサーキットについてどう感じているか教えてください。オリバー・ベアマン:うん、このサーキットは本当にクールだよ。ドライバーとしてたぶん一番多くラップを走ってるコースだと思う。テストはいつもここだし、プレシーズンも冬のテストもだいたいバルセロナになるからね。だから走り慣れてるコースに戻ってきたって感じだよ。今のセクター3は、昔のシケインがあったときよりも走ってて楽しい。数年前にF2でいいレースができた思い出があるけど、それを再現できるとは思ってない。でも、いい週末になるといいなって思ってる。Q:クルマの状態については? ここまで8戦して、どんなパフォーマンス特性が見えてきましたか? 今回は競争力があると思いますか?ベアマン:正直言...