ルノーF1チームは、自らのF1エンジンを“メルセデスより優れている”と豪語しているにも関わらず、ワークス復帰以降、まだ表彰台すら獲得できていない。2016年にワークス復帰したルノーは、F1へのトップへと返り咲くための5か年計画を掲げたものの、2021年のタイトルへの挑戦は数年遅れている。
2019年のF1世界選手権でフェラーリ、メルセデス、ホンダのF1エンジンは勝利を挙げているが、ルノーのF1エンジンはブラジルGPでカルロス・サインツが3位表彰台を獲得したのみ。ルノーはエンジンカスタマーのマクラーレンにコンストラクターズ選手権で敗北を喫した。しかし、ルノーのF1エンジン責任者を務めるレミ・タフィンは、GPS比較に基づけばルノーのF1エンジンは、メルセデスとホンダよりも優れていると語る。「我々はエンジンパフォーマンスについてメルセデスとフェラーリの激しい戦いを目にしている。メルセデスは我々の少し後ろにおり、フェラーリは少し前にいる。ホンダはまだ一歩遅れている。だが、我々はもはや50kWの違いについて話しているわけではない。フェラーリ、メルセデス、そして、我々の間の差は5~10kWだ。ホンダはおそらく15~20kW遅れている」F1のダブルタイトル6連覇を達成したメルセデスをも凌ぐF1エンジンだと自負しておきながら、ルノーF1が、勝利はおろか、表彰台すら獲得できていないのはなぜだろう? シャシーが最悪か、GPSでの測定方法が間違っているかのどちらかだ。現時点でのF1最強エンジンと目されるフェラーリでさえ3勝しか挙げられていない。それはロードラックのマシンコンセプトがストレートでは優位なものの、コーナーではその優位性を失っているかだと分析されている。ホンダのF1エンジンを酷評して3年間でパートナーシップを解消したマクラーレンも、ルノーにF1エンジンを切り替えた2018年にまったく競争力を発揮できず、原因はエンジンではなく、シャシー側にあったことを認めている。そのマクラーレンもルノーのF1エンジンには3年で見切りをつけ、2021年からメルセデスを搭載することを決断している。F1ハンガリーGPの前、ルノーのエンジン責任者を務めるレミ・タフィンは、ルノーの2019年型F1エンジンは1000馬力を達成しているときがあると語っていた。「予選での特定のパフォーマンスピークでしかないがね。常にそのパフォーマンスを発揮することはできいない。レースでは950馬以上であり、960~970馬力のときもある」とレミ・タフィンは語っている。だが、ルノーF1チームは、F1ハンガリーGPの予選でニコ・ヒュルケンベルグが11番手、ダニエル・リカルドは18番手に沈んだ。レッドブルからルノーに移籍したダニエル・リカルドは、“オーバーテイク・キング”とも称されていたその鋭いブレーキングがすっかり影を潜めている。この件について質問されたマックス・フェルスタッペンは「まあ、彼らが1000馬力があると主張しているなら、彼らのクルマは本当に悪いいんだね! いずれにしろ、メディアで話すよりもコース上で示したほうがいいと思うよ」と皮肉っている。もうひとつは、そもそもGPSの測定方法が他とは違うことだ。メルセデスの情報源は「我々が1000馬力について話すことはないだろう。おそらくルノーは我々とは異なる方法で計算しているのだろう」とコメント。「いずれにしろ、我々にとって重要なのはラップタイムだ」ホンダのF1エンジンはどうだろう? レッドブルの情報源は「我々は信頼性を実現している。ルノーは1000馬力かもしれないが、それでも我々はレースで彼らのマシンを周回遅れにしている」と語っている。ルノーF1チームは、シャシー担当テクニカルディレクターを務めてきたニック・チェスターを更迭。F1のトップエンジニアであるパット・フライが加入し、空力責任者としてディルク・ド・ビアを採用するなど、技術陣営の再編を行っている。現在、ルノーの暫定経営陣は、ブランド戦略的の見直しを行っており、その潜在的な結果としてF1からの撤退の可能性も残されている。ルノーのF1チーム代表を務めるシリル・アビテブールは「私の観点では、我々が構築したすべてのことは2021年を念頭において行われている。ルノーのコーポレートを含め、全員がそれを認識している。数字がそれ自体を物語っている。とは言え、決定が下されるまで、何も決定事項はない」とコメント。「ルノーは確かに独自の戦略と計画を立てている。我々はまだ暫定的な管理を行っており、実際にその管理と定期的に連絡を取り合っている」
全文を読む