レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、マックス・フェルスタッペンのF1ワールドチャンピオン獲得を助けたF1アブダビGP終盤のセーフティカーのきっかけとなったクラッシュが角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)ではなかったことに胸を撫でおろしている。残り6周でニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)がウオールにクラッシュしてセーフティカーが出るまでは、マックス・フェルスタッペンのF1ワールドチャンピオン獲得という希望は事実上潰えたように見えた。
しかし、セーフティカーは、レースの大半をリードしたルイス・ハミルトンとのギャップを縮めるだけでなく、新品のソフトタイヤのための“フリーピットストップ”の機会を与え、物議を醸す最終ラップのリスタートを可能にし、ターン5でマックス・フェルスタッペンはハミルトンを抜いて自身初のF1ワールドチャンピオンを獲得した。仮にそのクラッシュがレッドブルの姉妹チームであるアルファタウリ・ホンダで、シーズン中に多くの事故に巻き込まれた角田裕毅によるものであった場合、何か不吉な告発が国際映像で流れていたかもしれないとヘルムート・マルコは感じている。2008年のF1シンガポールGPでは、ルノーのネルソン・ピケJr.が、チームメイトのフェルナンド・アロンソを支援するために故意にクラッシュした“クラッシュゲート”スキャンダルが起こっている。この罪で起訴されたルノーF1のフラビオ・ブリアトーレはF1界から追放され、さらにはルノーのワークス活動停止へと繋がった。レッドブルF1のドライバー育成プログラムの責任者でもあるヘルムート・マルコは、最終的にルイス・ハミルトンに前人未踏の8回目のF1ワールドチャンピオンを犠牲する一連のイベントを引き起こしたのは、実際にはメルセデスF1のエンジンカスマーであるウィリアムズだったと指摘してMotorsport-total.comに語った。「内部的には、セーフティカーが必要であることは明らかだった」とヘルムート・マルコはF1アブダビGPのイベントについて語った。「角田裕毅がクラッシュしたとしたら、何かが起こっていただろう」「だが、その後、これが我々のイースター、クリスマス、世紀のチャンスであることはすでに明らかだった」