ピレリが、2012年 第14戦 F1シンガポールGPが開催されるマリーナ・ベイ・サーキットでのレースをタイヤメーカーの観点から解説した。ピレリは、シーズンで唯一のナイトレースとなるシンガポールGPのマリーナベイ・サーキット用にP Zero イエロー・ソフトタイヤとP Zero レッド・スーパーソフトタイヤを選択。
シンガポールでのナイトレースは、通常のグランプリとは異なる変動要因を生成する。まず、通常よりもセッションの開始が6時間遅いため、ヨーロッパラウンドと同様の時間帯に行われる。また、レースの進行とともに気温と路面温度は上昇ではなく下降していく。変動しないものは湿度で、レース週末を通じて75%から90%のまま。マリーナ・ベイは、シーズン中で2番目位に多い23のコーナーを有する、トラクションが重要となる市街地サーキット。アスファルトはバンピーで滑りやすく、グリップはマンホールの蓋や路面上の白線によって損なわれる。アドヒージョンの不足にも関わらず、マシンは減速時に4.3Gに達する荷重をマネージしなければならない。反時計回りの前兆5,073kmのコースを61周する決勝は、2時間のタイミリミットに近いものとなるため、熱や温度、絶え間ないバンプも加わり、ドライバーにとって肉体的に非常に苛酷で、マシンとタイヤにもタフなものとなる。例えば、スタート直後のターン1からターン3にかけてのコーナーの連続では、特にタイヤに大きな負荷を課す切り返しがある。ドライバーは、ブレーキングを出来るだけ遅めにし、ターンインと減速を同時に行う。このため、タイヤには縦方向と横方向の荷重が同時にかかり、タイヤ構造への負荷は大きくなる。しかし、コンストラクションの完全性は、ミスが許されないシンガポールで不可欠。最適なドライビングプレシジョンと完璧なレースラインのためのアドヒージョンを保証する。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)「個人的には、シンガポールGPは大好きです。ナイトレースならではの驚くべきシーンが見られ、素晴らしい雰囲気に包まれ、そして我々のタイヤにとって魅力的なチャレンジの場所です。無数のスポットライトの下、決勝時の状況は通常のレースとは異なるため、チームとドライバーはタイヤ戦略を懸命に練らなければなりません。路面の状況と改善は、日中のレースの場合といくらか異なります。また、セーフティカー導入の可能性もあります。2008年以降、シンガポールGPでは、セーフティカーが毎年登場しています。したがって、状況が振り出しに戻った場合に迅速にアドバンテージを得るために、戦略は柔軟かつ効果的でなければなりません。温度は常に高いものの、これまでのシンガポールGPでは雨を経験していません。今年も同様と思われ、我々のF1レンジ中で最も軟らかい組み合わせである2つのスリックタイヤの究極の性能が見られるでしょう。昨年は、セバステャン・ベッテルが3ストップ戦略で優勝しました。一方、ルイス・ハミルトンは、4回のピットストップと1回のドライブスルー・ペナルティを行いながらも5位に入賞しました。平均スピードは速くないため、低速コーナーからの出口で、オーバーヒートに繋がるホイールスピンをコントロールできれば、デグラデーションは問題にならないと思います」
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