レッドブル・レーシングで3シーズンを戦ったセルジオ・ペレスが、マックス・フェルスタッペンのチームメイトとして過ごした日々を振り返り、「ルイス・ハミルトンでさえ同じ環境では苦しむだろう」と語った。ペレスは2021年から2024年までレッドブルに在籍し、チームメイトのフェルスタッペンが4年連続でF1ワールドチャンピオンを獲得する間、サポート役として堅実な走りを見せた。
最初の3シーズンはドライバーズランキングで常にトップ4以内を維持したが、2024年には不振に陥り最終的にランキング8位でシーズンを終え、レッドブルを去ることとなった。2023年はレッドブルが圧倒的な支配力を見せつけた年であり、フェルスタッペンが王座を防衛、ペレスもランキング2位と自己最高位を記録。チームはメルセデスにダブルスコア以上の差をつけてコンストラクターズタイトルを獲得した。翌2024年、成績が低迷したペレスはF1を離れるが、1年のブランクを経て2026年からキャデラックF1チームで復帰することが決まっている。「マックスの隣に座るのは誰にとっても地獄」メキシコGPを前にスカイF1のカルン・チャンドックとの特集インタビューに応じたペレスは、レッドブルでの苦闘を振り返りながら、フェルスタッペンに合わせて造られたマシンの特性がいかに特殊であるかを強調した。「レッドブルとの契約終了を決めた瞬間、『次に来るドライバーはかわいそうだな』と思った」とペレスは語る。「マックスの隣にいるのはとても難しい。でも“レッドブルのマックスの隣”にいるというのは、もっと特別なことなんだ。人々はそれを理解していないと思う。いろいろ話せることはあるけど、とにかくドライバーにとってものすごく厳しい仕事なんだ」「誰もあそこで生き残れないよ。ハミルトンでもルクレールでも関係ない。誰が来ても間違いなく苦しむだろう。マックスのドライビングスタイルは非常に独特で、常に彼のニーズに合わせていかなければならない。それがすべてだ」レッドブル特有の“マックス専用”哲学ペレスの発言は、長年レッドブル内部でささやかれてきた「マックス中心の開発体制」を裏付ける内容だ。フェルスタッペンのスタイルは超攻撃的かつフロント寄りのセッティングを要求し、マシンの限界域でコントロールする才能が問われる。一方で、その特性は他のドライバーにとっては扱いづらく、過去にもピエール・ガスリーやアレクサンダー・アルボンが同様の課題に直面した。もしハミルトンがレッドブルに移籍すればどうなるかという仮定に対し、ペレスの答えは明快だ。「才能の問題ではなく、チームの哲学そのものがマックスに最適化されている」という点に尽きる。マシン開発の方向性、エンジニアリング体制、レース戦略までもがフェルスタッペンを中心に構築されており、他のドライバーがそこに適応するのは容易ではない。キャデラックF1で再出発するペレスにとって、この発言は過去の苦境を振り返るだけでなく、自身が新天地でどのように“自分のスタイル”を再確立するかの決意表明とも取れる。
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