セルジオ・ペレスが2026年にF1復帰を果たす見通しとなった。新規参戦チームのキャデラックが初代リードドライバーとしてメキシコ人ベテランを起用する構えだ。ペレスは2023年にマックス・フェルスタッペンに次ぐドライバーズランキング2位を獲得したものの、2024年末にレッドブルを離脱。その後、2025年シーズンはシートを失い、F1の舞台から遠ざかっていた。
2024年6月にはレッドブルとの2年契約を結んでいたが、シーズン後半にパフォーマンスが急落。レッドブルは急遽ペレスを放出し、後任としてリアム・ローソンを起用した。しかしローソンもわずか2戦で戦列を離れ、レーシングブルズへ戻された。その後任として昇格した角田裕毅も苦戦が続いており、5月のエミリア・ロマーニャGP以降ポイントを獲得できていない。フェルスタッペン自身もRB21の仕上がりに不満を抱えており、7月のベルギーGP前時点でポイントリーダーのオスカー・ピアストリに69点差をつけられている。そんな中、ペレスの新たなマネジメントチーム(元A1グランプリドライバーのカリル・ベシール率いる)が各チームとの交渉を進め、キャデラックが最有力候補として台頭。アルピーヌも候補に挙がっていたが、これはあくまでメディア露出を狙ったものとされている。ペレスのキャデラック加入は経済的にも大きな意味を持ち、メキシコの大富豪カルロス・スリムがこの契約に関与しているとの情報もある。発表は8月のハンガリーGP終了後、夏休みに入るタイミングで行われる見込みだ。2人目のシートはボッタスかシューマッハかペレスの加入が内定する中、キャデラックの残る1枠を巡っては激しい争いが繰り広げられている。当初、キャデラックはアメリカ人ドライバーの起用を目指しており、インディカーのコルトン・ハータが最有力と見られていた。しかし、スーパーライセンスポイント不足により断念。カイル・カークウッドも候補に挙がったが、現在はその可能性も消えている。代替案として、キャデラックはダニエル・リカルドにF1復帰を打診。だが、2024年半ばにレーシングブルズを離脱して以降、F1パドックから距離を置いているリカルドはこの誘いを固辞し、選択肢から除外された。現在、2人目のシートはバルテリ・ボッタスとミック・シューマッハの一騎打ちとなっている。2024年末でザウバーを離れたボッタスは2025年、メルセデスのリザーブドライバーとして活動中。キャデラックとの交渉は続いているが、同時にアルピーヌのセカンドシート獲得も視野に入れている。現在そのシートにはフランコ・コラピントが座っているが、イモラからの昇格以降、ポイント未獲得。シルバーストンではQ1でスピンするなどミスが目立ち、実質的なチーム代表であるフラビオ・ブリアトーレも「改善が必要」と苦言を呈している。そのため、ブリアトーレはメルセデス代表のトト・ヴォルフと接触。2026年からアルピーヌがメルセデス製PUに切り替わるタイミングで、ボッタスを起用する可能性が浮上している。一方、ボッタスがアルピーヌに移籍した場合、キャデラックのシートにはミック・シューマッハが滑り込む可能性が高い。シューマッハは2022年にハースでF1シートを失って以降、WECに転向。2025年はアルピーヌから耐久レースに参戦中だが、F1復帰を目指して活動を継続している。ウィリアムズでのチャンスや、アルピーヌ、アウディとの交渉も結果には結びつかず、F1復帰の道は閉ざされつつある。そんな中、シューマッハはマイアミGPで行われたキャデラックの公式発表会に出席し、シルバーストンではチーム代表のグレアム・ロードン、CEOのダン・トーリスらと行動を共にする姿が目撃された。キャデラックがシューマッハを候補に挙げる理由は、その市場価値の高さにもある。もし今回もシート獲得に失敗すれば、彼のF1復帰の望みは完全に断たれることになるだろう。
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