頭上に広がる灰色の雲と、いつ降り出すかわからない雨の脅威。第11戦オーストリアGPのフリープラクティス初日、Movistar Yamaha MotoGPは貴重なドライ・コンディションを最大限、有効に使うおうと一丸となって作業に取り組み、マーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシは、第1セッションと第2セッションの総合成績でそれぞれ2番手と13番手を獲得した。
午前中に行われた第1セッション、マーベリック・ビニャーレスは着実にペースアップを図り、コンスタントに1分25秒台で走行。セッションの最後になってからアタックを試み、1分24秒752に更新して4番手に浮上した。トップとの差は0.121秒。午後から雨が降る可能性に備え、まずはQ2進出の権利を確保した。その後、恐れていた通りに天候が悪化。第2セッションが始まる頃にはコースの大部分が乾いたものの、第3コーナーにウエット・スポットが残っているためタイム更新は不可能だ。マーベリック・ビニャーレスはこの状況を見てスタートを遅らせ、太陽が顔を出してコース・コンディションが整うのを待つことにした。そしてセッションの残り25分でコースイン。素早くペースを上げてハードにプッシュし、1分24秒280を記録して2番手を獲得した。トップとの差は0.234秒だった。チームメイトのバレンティーノ・ロッシは体調が万全でなかったものの、前回チェコGPの活躍を再現するように順調な滑り出し。フリープラクティス第1セッションでは、明日の予選に備えてマシン・セッティングに専念し、1分25秒251のベストタイムでトップから0.620秒差の12番手。第2セッションでは、さまざまなコンディションの可能性に備えるため、ある程度、路面が乾いたところで走行を開始。コースレイアウトに合ったセッティングとマシン・バランスを探りながら終盤でハードにプッシュし、午前中のタイムを0.368秒更新した。これで1分24秒883を記録して12番手につけたが、両セッションの総合成績ではトップから0.837秒差の13番手。Monster Yamaha Tech3のヨハン・ザルコが、オーストリアGPのフリープラクティス初日にサテライト勢トップの総合4番手。午前中の第1セッションで順調にペースを上げ、午後からの第2セッション終盤でベストタイムを更新。3番手にわずか0.048秒差と迫る4番手を獲得した。一方、チームメイトのジョナス・フォルガーはやや苦しんだが、チームとともに懸命にマシン・セッティングに取り組みながらザルコに0.470秒差まで迫る健闘。明日はさらなる前進を目指し、予選で好位置獲得を狙う。Movistar Yamaha MotoGPマーベリック・ビニャーレス (フリー走行総合2番手/1分24秒280)「良いフィーリングで初日をスタートすることができたので、とてもうれしく思っています。午前、午後ともに仕事は順調。月曜日にブルノで行ったテストでセッティングが大幅に向上していたこともあって、今日はマシンの乗り心地も抜群でした。明日に向けて、このあとは主に電子制御システムに取り組むことと、このコースでとても重要になる加速性能向上を目指して作業を進めていきたいと思っています」バレンティーノ・ロッシ (フリー走行総合8番手/1分24秒883)「問題がいくつか出てしまって、とくに午前中のセッションはかなり難しい状況。僕自身も朝から体調が悪く、風邪のような症状で十分に力が出せなかったことも影響しています。第2セッションではマシンも僕もフィーリングがいくらか良くなってきましたが、目標にしていたトップ10入りは、残念ながら逃してしまいました。もうちょっとのところまで近づいてはいるのですが、このあとはまた別のモディファイを試さなければならないと思っています。状況を好転させるためにはたくさんの課題があります。とくにブレーキングとアクセルレーション。コーナー立ち上がりで遅れてしまうのです。そして、もうひとつが第3セクション。去年はとてもうまく走れた場所ですが、今日はマシン・バランスがしっかり出来上がっておらず、思うように走ることができませんでした。明日は何か別の解決策を見つけて、トライしようと思っています」マッシモ・メレガリ (チームディレクター)「MotoGPカレンダーのなかでも、ここスピールベルグ・サーキットはわれわれにとって難しいコースのひとつです。そのことを考えれば、今日の結果はとても良かったと思います。第2セッションは路面コンディションが悪く、ところどころに濡れた部分が残っていたことが残念ですが、そのなかでもライダーたちはいいペースで走ってくれました。両セッションともとても有意義で、フェアリング、前後タイヤのスペック、さまざまなセットアップをテスト。マーベリックは第2セッションで好タイムを記録し、良いポジションを確保することができました。バレンティーノのほうは、とくに午前中はつらそうでしたが、両セッションとも決勝用タイヤを使用して良いリズムをつかんでいました。第2セッションではフロントにソフト・コンパウンドを履いてタイムアタックに臨みましたが、残念ながら成果は上がりませんでした。でもまだ明日のフリープラクティス第3セッションが残っているので、そこでラップタイムを更新し、Q2へ進出してくれると確信しています。マーベリック、バレンティーノともに、まだマージンが残っているのです」Monster Yamaha Tech3ヨハン・ザルコ (フリー走行総合4番手/1分24秒522)「フリープラクティス初日が順調に運び、とても満足しています。ウエット・コンディションを期待していたのですが、結局、両セッションともドライ。そのなかではしっかり力を発揮することができました。安全策としてソフト・コンパウンドのタイヤを履くと、このところいつもトップ10に入っています。そして今日は、トップ3にあとわずかと迫ることができたのです。このコースが気に入っていますし、ウイーク初日としてはすべてが順調です。ブレーキングは問題ないので、Tech3チームは主に加速性能のほうに重点を置きました。その結果、ライバルたちと比べても満足できる仕上がりになっていると思います。去年のラップタイムを見れば、トップライダーたちが明日はもっとペースを上げてくるはずです。僕たちもこれからさらに前進を目指していきたいと思っています」ジョナス・フォルガー (フリー走行総合16番手/1分24秒992)「今日は難しい展開になってしまいましたが、明日は必ず挽回します。セッション序盤は、前回のチェコGPでうまくいっていたセッティングを使用しましたが、それがここでは...
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