青空が広がったフィリップアイランドで行われたMotoGP オーストラリアGPの決勝レースは、Honda勢にとって厳しい結果となった。今季6度目のポールポジション(PP)獲得から序盤トップを走り、今季9勝目が期待されたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、6周目の1コーナーで、後ろを走るヨハン・ザルコ(ヤマハ)がマルケスの後輪に接触したことで、ともにリタイアとなった。
この接触で跳ね上がったザルコのマシンがマルケスのRC213Vのシートカウルに激しくぶつかり、シートレールが折れる大きなダメージで、ピットに戻りリタイアを決めた。300kmを越える最高速度からのブレーキングでの事故にサーキットに緊張が走ったが、幸いにも、両選手にケガはなかった。レース開始早々に起きた事故で、チャンピオンを決めたばかりのマルケスの豪快な走りを見ようとサーキットにつめかけたファンはがっかりすることになったが、レースウイークを通じてチャンピオンの走りを堪能することができたのではないだろうか。チームメートのペドロサ(Repsol Honda Team)も、予選18番手から12番手までポジションを上げたが、12周目の4コーナーで転倒し、リタイアに終わった。カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は金曜日のフリー走行の転倒で、右足を負傷して欠場した。その結果、Honda RC213Vのワークスマシンに乗る3選手がすべてノーポイントに終わるという厳しい結果となった。Honda勢最上位は、ルーキー・オブ・ザ・イヤーでライバルをリードするフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)で、予選15番手から今季ベストリザルトの8位でフィニッシュした。波乱の展開となった決勝レース。モルビデリは、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)、ブラッドリー・スミス(KTM)との戦いを制し、一段と自信をつけるレースとなった。予選14番手からシングルフィニッシュを目指した中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、オープニングラップ11番手と好走をみせるが、2周目の1コーナーでオーバーランを喫し20番手にダウン。そこから追い上げて14位でチェッカーを受けた。初ポイント獲得に気合のトーマス・ルティ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は16位。ポイント獲得に今大会も一歩及ばなかった。フランコ・モルビデリ(MotoGP 8位)「この結果はとてもうれしいです。MotoGPクラスで自己ベストとなりました。ライダーたちがレースをリタイアしていく厳しい状況の中で、いい仕事ができたと思います。タイヤの選択は正しく、レース中盤からは特にいいペースがありました。そしてトップ10に入ることができました。今週末、決勝に向けてセットアップを進めて素晴らしい仕事をしてくれたクルーに感謝したいと思います」中上貴晶(MotoGP 14位)「今日は厳しいレースでした。フロントにミディアム、リアにソフトをチョイスしました。タイヤ選択は多少悩みましたが、序盤からペースを上げたかったのでソフトを選びました。終盤厳しくなるのは想定していましたが、思っていた以上に厳しく、苦戦しました。今日はスタートがよく、いい位置にいたのですが、ストレートでスリップから抜けたときに風で大きく振られ、それでブレーキパッドがひらいてしまい、ブレーキが効かない状態になりオーバーランしてしまいました。それがなければシングルはいけたと思います。それだけに残念でした」トーマス・ルティ(MotoGP 16位)「最初の10周はいいリズムがあり、集団の中にいることができました。そのあとエッジグリップなくなり、高速の左コーナーでコーナリングスピードをキープできず、アンダーステアに苦戦して、かなりタイムをロスしました。今回も16位。チャンピオンシップポイントを逃して残念です」ダニ・ペドロサ(MotoGP リタイア)「難しい週末でした。3日間を通していい感触を得られず、決勝では残念ながら転倒してしまいました。今日はいいポジションで走れず、ストレートのあとのブレーキングポイントでフロントから転倒してしまいました。速い場所なのでかなり大きな転倒でした。とにかく前へ進まなければなりません。次の日曜日にはいいレースができることを願っています」マルク・マルケス(MotoGP リタイア)「まず、なにが起きたのかよく分かりませんでした。でも後ろから接触されたことは分かったので、怒っていました。この接触でシートが壊れてしまい、レースを続けられませんでした。走ることが不可能でした。ピットに戻ってビデオを見て状況を理解しました。これは、レーシングアクシデントです。あの場所は、時速300キロを超えるとても速いスピードからのブレーキングになります。僕はジャック・ミラーの後ろにいて、通常より少し遅くブレーキングを掛けることになりました。その直後に衝撃を感じました。ザルコは僕たち2人のスリップストリームを使っていました。すでに彼と話しました。今日はとてもラッキーでした。最も重要なことは僕もヨハンも無事だということです。今日はとても集中できました。レースは思ったように進みました。数周レースをリードし、そのあと、集団の中にいることにして少し待ちました。いいペースはありましたし、優勝争いができる感触がありました。0ポイントとなってしまったのは不運でしたが、もし来年も日本でタイトルを獲得できて、またここでDNFになったら、 サインアップするしかありません。今は次のレースに集中したいと思います」
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