FBIロサンゼルス支局は、メキシコ当局と連携し、元オリンピック・スノーボード選手のライアン・ジェームズ・ウェディングに関連するメキシコの複数物件を捜索し、推定約4,000万ドル相当の大規模なバイクコレクションを押収したと発表した。押収されたのは前例のない規模のモーターサイクル群で、バレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソ、マルク・マルケスらに関連するMotoGPマシンが含まれている。これらは、現在FBIの最重要指名手配リストに載るウェディングが所有していたとされる。
五輪出場から国際麻薬組織の中枢へウェディングは2002年ソルトレイクシティ冬季五輪で、カナダ代表としてスノーボードのパラレル大回転に出場した元選手だ。しかし現在は、近年で最も大規模とされる国際的な麻薬密売組織への関与が疑われている人物として悪名高い。メキシコ国内の複数拠点で行われた一連の捜索では、当局が推定約4,000万ドル(約60億円)相当とみるバイクコレクションが押収された。ロッシ、ロレンソ、ドヴィツィオーゾの実走車もコレクションには、ドゥカティ・コルセのMotoGPマシンで、ロレンソやアンドレア・ドヴィツィオーゾが実際にレースで使用した車両が含まれていた。また、ロッシが2011~2012年シーズンに乗ったドゥカティの2台、さらにマルケスのキャリア初期に関連するMoto2マシンも確認されている。そのほかにも、ホンダやカワサキの高性能スーパーバイク、500cc GPクラスのマシンなどが多数回収された。62台のバイクと高級資産を押収メキシコ当局は、FBI、カナダ王立騎馬警察(RCMP)、ロサンゼルス市警と協力して捜索令状を執行し、計62台のバイクと、ウェディングのネットワークに結びつくその他の高級資産を押収した。押収はバイクに限られない。過去の捜索では、約1,300万ドル(約19億5,000万円)と評価される希少な2002年式メルセデス・ベンツCLK-GTRロードスター、薬物、弾薬、アート作品、さらにはオリンピックメダルも押収されている。ただし、メダルの所有権については完全には確認されていない。捜査当局は、このコレクションを「これまでに記録された中で最大級の個人所有MotoGPおよびエキゾチックバイクコレクションのひとつ」と表現している。重罪で起訴 懸賞金1,500万ドルウェディングは2024年に米カリフォルニア中央地区連邦地裁で起訴され、その後も追加起訴が行われている。公式の裁判資料によれば、大量のコカインの流通および輸出を共謀した罪、継続的犯罪事業の運営、麻薬組織に関連する複数の殺人および殺人未遂、資金洗浄などの罪に問われている。米財務省も、暴力行為や殺人、国際的な麻薬取引への関与を理由に、ウェディングと複数の関係者を制裁対象に指定し、犯罪収益が高級資産や企業を通じて世界中で洗浄されていたと指摘している。現在、ウェディングはメキシコに潜伏しているとみられ、「武装しており極めて危険」とされる。FBIと米国務省の麻薬報奨金プログラムは、逮捕および有罪判決につながる情報に対し、最大1,500万ドル(約22億5,000万円)の懸賞金を提示している。
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