2021年のMotoGP 第6戦イタリアGPが、5月28日(金)から5月30日(日)までの3日間、フィレンツェ近郊のムジェロ・サーキットで開催される。昨年のイタリアGPは新型コロナウイルスの感染拡大防止のためキャンセルとなったため、2年ぶりの開催となる。ムジェロはこれまで5月もしくは6月に開催されており、今年の大会復活は、正常化に向けて着実に前進していることを感じさせてくれる。
ムジェロで初めてグランプリが開催されたのは1976年。以降、イモラ、モンツァなど、複数のサーキットでイタリアGPが開催されてきたが、1991年にサーキットの全面改修を受けてからは、ムジェロがイタリアGPの舞台として定着した。91年はサンマリノGP、92年はイタリアGP、そして93年は再びサンマリノGPとして開催され、94年以降はイタリアGPの舞台となり今年で27回目の開催。91年から93年の3大会を加えると30回目のグランプリ開催となる。ホンダは、93年のサンマリノGP以来、ムジェロで13勝を挙げている。93年から98年までミック・ドゥーハンが6年連続優勝(イタリアGPとしては5年連続)。以降、アレックス・クリビーレ、ロリス・カピロッシ、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシがHondaで優勝。そして、Repsol Honda Teamとしてはダニ・ペドロサが10年、マルク・マルケスが14年に優勝している。それ以降は、マルク・マルケスが16年に2位、19年に2位になっているが、この数年はホンダ勢にとって厳しいサーキットになっている。しかし一昨年の大会でマルク・マルケスは、ダニーロ・ペトルッチ(当時ドゥカティ)とし烈な優勝争いを繰り広げ、わずか0.043秒差で惜しくも優勝を逃したが、レースファンを魅了した。ムジェロは一周5.245kmのハイスピードコースで、グランプリが開催されるサーキットでは、オーストラリアのフィリップアイランドに次いでアベレージスピードの高いコース。下り勾配の最終コーナーから約1.1kmのロングストレートで繰り広げられる超高速バトルが最大の見どころで、見ている観客を興奮させる。ムジェロは全体的にパッシングポイントが多く、目まぐるしくポジションを入れ替える競り合いになることがしばしばで、選手からも観客からも評価の高いサーキットになっている。この季節のムジェロは好天の日が多く、09年のウエットレースを最後に10年から18年まで9年連続で天候に恵まれた。この時季は30℃を超える猛暑になることが多く、一昨年は29℃の暑さの中で行われた。ハイスピードコースのムジェロはタイヤに厳しい戦いとなる。そのためタイヤの選択がリザルトに影響することも多く、フリー走行、予選でのセットアップが重要になる。右腕上腕の骨折から9カ月間の治療とリハビリを経て、4月の第3戦ポルトガルGPから復帰を果たしたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、ポルトガルGPで7位、第4戦スペインGPで9位、そして“フラッグ・トゥ・フラッグ”になった前戦フランスGPでは、一時首位に立つなど快走をみせた。最終的に転倒リタイアに終わったが、着実に本来の走りに近づいていることを感じさせている。今年は2年ぶりの開催となるが、復帰4戦目となるマルク・マルケスがどんな走りをみせてくれるのか、大きな注目が集まっている。マルケスは、125cc時代の10年にムジェロでグランプリ初優勝を達成した。その後Moto2クラスでは11年、MotoGPクラスでは14年に優勝している。今年は、復帰初表彰台、初優勝の期待が膨らむ。Repsol Honda Teamで5戦目を迎えるポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)が、今季ベストリザルト獲得に挑む。過去5戦、2度の8位(カタールGP、フランスGP)を最高位にトップ10フィニッシュが3回。ヨーロッパラウンドに入ってからは、RC213Vで初めて走るサーキットが続いているが、レースをこなすごとに確実にパフォーマンスを引き出している。これまでムジェロでは、125cc時代の08年と10年に3位、Moto2クラスでは12年に2位、MotoGPクラスでは14年の5位がベストリザルトだが、今大会は、マルク・マルケス同様、移籍初表彰台、初優勝が期待される。5戦を終えて総合9位とHonda勢で最上位につける中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が念願の初表彰台、初優勝に挑む。今年は5戦を終えて第4戦スペインGPの4位を最高位に第5戦フランスGPでは7位でフィニッシュしている。前戦フランスGPでは、デビュー4年目にして初めて”フラッグ・トゥ・フラッグ”を経験したが、中上は一時3位を走行した。最終的にタイヤの消耗に苦しんで7位に終わったが、得意のムジェロでその雪辱に挑む。一昨年の大会では予選10番手から5位でフィニッシュしている。あれから2年、ライダースキルを上げている中上の走りに注目だ。前戦フランスGPで今季ベストの6位でフィニッシュ。調子を上げてきたアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が、今季ベストに挑む。MotoGPクラスにデビューした昨年はイタリアGPがキャンセルされたため、今年はRC213Vで初めて走るサーキットとなる。ムジェロは攻略の難しいサーキットの一つだが、Moto2時代の17年に3位、タイトルを獲得した19年には優勝している。登り調子のアレックス・マルケスの走りに期待される。マルク・マルケス(Repsol Honda Team)「フランスGPを終えて1週間、引き続き回復に専念できました。フランスのウエットコンディションではポテンシャルをみせることができました。今週末のムジェロでは金曜日の午前中からいい仕事をして、安定していいペースを見つけられるようにがんばらなければなりません。自分の体の限界は理解していますし、ドライで前とのギャップを縮めることが簡単ではないことは分かっています。今年初めての2週連続のレースになります。体力的にさらにきつくなりますが、がんばります」ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)「昨年はムジェロでレースができませんでしたが、今年はムジェロに行くことができてうれしいです。このサーキットのストレートでMotoGPマシンを走らせるのはとても刺激的です。これまでのサーキットとはキャラクターがかなり違うので、マシンがどのような動きをするのか様子を見たいと思います。今週末はたくさんのバトルが見られると思います。でもプラクティスセッションでいい仕事ができれば、その中に入ってバトルができると思います。そして来週はすぐにバルセロナでレースがあります。とても楽しい2週間になると思います」中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)「昨年はムジェロでレースができなかったので、楽しみにしていました。ムジェロは大好きなサーキットの一つなので、...
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