FIA(国際自動車連盟)は、メルセデスが2026年F1パワーユニット規則のグレーゾーンを利用していたとの見方について、「不正」ではなかったと否定した。問題となっていたのは、圧縮比を測定する際の温度条件だ。FIAは6月から、エンジンが高温の状態だけでなく、室温でも圧縮比を測定する方針で、開幕前から議論を呼んでいた抜け道を封じることになる。
トンバジス「注目されすぎた話題」FIAのシングルシーター部門ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、イタリア紙『コリエーレ・デラ・セラ』に対し、この問題が過剰に扱われてきたと語った。「これは大げさに扱われすぎた話題だ」とトンバジスは語った。「これほど注目される価値があったとは思わない。我々は、誰かが不正をしようとしていたとは一度も考えていなかった」論点は、各チームが異なる温度条件で圧縮比を最適化する方法を探っていたことにあった。特にメルセデスの手法が注目を集めたが、トンバジスはそれがレギュレーション違反ではなかったと説明している。「いくつかの判断は、より有利な温度で圧縮比を変化させようとするものだった。そして、それらは合法だった」FIAは開発競争の拡大を防ぐために介入FIAが対応に動いた理由は、特定チームを罰するためではなく、グリッド全体が同じ方向の開発競争に突入することを防ぐためだった。「我々は2月末にいくつかの判断を下した。F1全体が、エキゾチックな素材や解決策を探す競争に入ることを避けるためだ。それはスポーツの精神に反するものになる」「これは、特定の状況に直面したときに我々がよく行うことだ。我々はそれを禁止するのではなく、長く引きずられすぎないようにする」今回の変更により、FIAは6月から圧縮比の測定条件を明確化する。高温時だけでなく室温でも測定することで、温度変化を利用した最適化の余地を狭める狙いがある。メルセデスは「不正」ではなくグレーゾーンの範囲内トンバジスは、メルセデスが一線を越えたという批判を明確に否定した。「誰かが不正をしようとしていたという批判は受け入れられない。たとえその解決策が、レギュレーションが意図していたものではなかったとしてもだ」FIAの説明から見えるのは、今回の問題が「違反」ではなく、2026年F1レギュレーションの初期段階で生じた解釈の幅だったという点だ。メルセデスの手法は合法とされる一方で、FIAはその方向に開発が過熱することを望まず、6月から測定基準を広げることで事実上の歯止めをかける。2026年F1レギュレーションは、パワーユニットとシャシーの両面で新しい解釈が次々に生まれている。今回の圧縮比問題もその一例であり、FIAは違反認定ではなく、早期の明確化によって競争の方向性を管理しようとしている。