メルセデスは、F1バルセロナテスト2日目にエンジンサウンドを増加させるための施策である“メガホンエキゾースト”のテストを開始した。バルセロナテスト2日目にニコ・ロズベルグのマシンには1メートルほどの長さのトランペットのような形状のアタッチメントが搭載されている。実物を確認した Bild は、「ものすごく軽量で、1.5キログラムほど」であり、素材が何かは不明であるが「排気管の先の手前部分に小さな穴が開けられている」とリポートしている。
今年導入された新V6ターボエンジンが昨年と比べて大人しい音しか発生しなくなったことに対する不満の声が広がっているが、メガホンエキゾーストによってかつてのような「ラウド」なF1サウンドを聞くことができるのではないかと楽しみにしている者も少なからずいることだろう。だが、F1が時代の流れに乗って、これまでよりも洗練された環境に優しいエンジンを導入したにもかかわらず、このような人為的な手法でサウンドを大きくしようという試みを好ましいことだとは考えていない者もいる。元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは「F1カーの音を大きくしようという話をするなんて馬鹿げたことだ」と APA通信 にコメント。「そのような議論自体がナンセンスだ」だが、FIAはこの問題にかなり真剣に取り組んでいる。現在のF1エンジンサプライヤーであるメルセデス、フェラーリ、そしてルノーの3社とともに音響の専門家を交えてエンジンサウンドの増大にむけた取り組みを行っている。ルノー・スポールF1のロブ・ホワイトは「FIAは何人かの音響専門家を抱えており、彼らは我々のところにも訪れ、我々が実験室で行ったテスト結果などを調べていった。そこにはサウンドの測定結果も含まれていた」だが、ルノー・スポールF1の社長ジャン・ミシェル・ジャリニエは、たとえ音が小さくなってしまったとはいえ、F1はこれまでよりも効率化された新しいエンジン・テクノロジーを恥じるべきではないと主張している。ジャン・ミシェル・ジャリニエは「時代の流れとともに歩まなくてはならない」とコメント。「もはやV10やV8時代のように100kmごとに60リットルもの燃料を消費するような時代ではない」また、今季のF1マシンが発生する大人しい音は、最新かつ素晴らしいテクノロジーの産物であるとし、逆に称賛されるべきだとの声もある。ロブ・ホワイトは「2014年型パワーユニットは少ないエネルギーで稼働する。効率性がかなり高められており、それによって後方で発生する音は小さくなっている」とコメント。「私はエンジンが発生する音を酷いとするこのような意見には賛成できない。逆に、そういう音がかき消された中にこそ前向きなメッセージがあると感じている」だが、ロブ・ホワイトは、もっと音を大きくして欲しいという声に耳を塞ぐつもりはないと語っている。しかし、メルセデスのライバルたちは、今季すでに圧倒的な力を見せつけているメルセデス、メガホンエキゾーストによってさらに自パフォーマンスを高めようとしているのではないかと疑っているのも事実。ロブ・ホワイトも「中短期的に見て、私は今回の課題に対応した結果が、直接的であるか間接的であるかを問わず、自分たちのライバルよりもパフォーマンスを向上させるような状況を作り出すようなことがあってはならないと考えている」と述べた。
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