マクラーレンは、英国のサリー州にある本部を2億ポンド(約272億円)で売却する計画を進めていると報じられている。Sky News は、不動産サービス企業のコリアーズ社が、マクラーレンの本部のセール・アンド・リースバック取引(自社ビル等の不動産や機械設備等を売却し、その買手から当該物件のリースを受ける取引)を担当することになったと報道。同社はサリー州にある本部を2億ポンドでバイクアクスルことを計画しているという。
新型コロナウイルス危機によってマクラーレンは、財政面を強化する戦略を進めており、今年すでに株式発行によって既存の株主から数億ポンドを調達したほか、バーレーン国立銀行から1億5000万ポンド(約204億円)の融資を受けている。ロンドンの金融中心街の情報筋によると、マクラーレンは来年さらなる株式発行および債務借り換えのアドバイザーとしてゴールドマン・サックスとHSBCを任命したという。また、マクラーレンは、レーシング部門の少数株式の売却も予定しているが、最近、ウィリアムズF1が米国の投資企業ドリルトン・キャピタルに売却されていたことを受け、裕福な個人からのオファーを誘う可能性が高い。マクラーレンの広報担当は「当社のグローバル本部の売却とリースバックの可能性、債務再編と株式調達に関する助言を行う銀行の任命は今年初めに発表した包括的な借り換え戦略の一部です」と Sky News に語った。「夏の間に実施した短期間の対策をベースにしたこれらのイニシアチブは、より強力なバランスシートをもたらし、マクラーレン・グループが長期的な成長、投資の持続的プラットフォームであることを確実にするためのものです」「提案されている売却とリースバックは、主要企業のベストプラクティスを反映したものであり、我々の日々の業務には影響を与えることはありません」「マクラーレン・テクノロジーセンター、マクラーレン・プロダクションセンター、マクラーレン・ソートリーダーシップセンターから構成されるマクラーレン・キャンパスは象徴的な世界に通用する施設であり、将来も我々の本拠地であり続けます」先月、マクラーレン社は今年上半期の営業損失が1億8400万ポンド(約250億)になると発表し、新型コトナウイルスによる“大きな不安”が下半期の見通しにも暗い影を落とし続けると語っている。今年初め、マクラーレンF1は従業員の4分の1以上に影響を与えるリストラ計画の一環として、事業全体で1200人を解雇した。マクラーレンは、バーレーンのマムタラカト投資ファンドが率いる投資家が所有しており、3月に3億ポンド(約408億円)の増資を行ったばかりである。だが、1億5000万ポンド(約204億円)を求めた政府融資が却下され、新しい資金調達先の探索している。今年、マクラーレンF1は、コンストラクターズ選手権3位とパフォーマンスを取り戻している。マクラーレンは、F1パドックの中でも最も歴史の古いチームのひとつであり、半世紀以上参戦し、8回のF1コンストラクターズタイトルを獲得している。これまでのF1ワールドチャンピオンには、ミカ・ハッキネン、ルイス・ハミルトン、アラン・プロスト、アイルトン・セナなどが含まれる。F1は、2021年から予算上限を導入するが、レースチームの少数株式の売却は、マクラーレンが持続可能なかたちで予算上限の範囲内で活動するのに役立つという。また、インディカーへのへの参戦を含むマクラーレンの競技部門は、同社の年間収入のほぼ20%を占めている。F1チームを最も成功に導いたベテランのボス、ロン・デニスが退任したあと、同社は別々の部門を再結合させた。ロン・デニスは英国で最も有名な実業家のひとりであり、有利な商業的パートナーシップを通じて、マクラーレンの技術事業をさまざまな産業に拡大した。だが、ロン・デニスは、株主と激しい論争の末、2億7,500万ポンド(約374億103万円)で株式を売却。マクラーレンの取締役会に、中国人投資家のコンソーシアムのよる16億5000万ポンド(約2244億円)の買収提案を提示したが、取締役会の同僚からの支持を得られなかった。かつては、マクラーレン・オートモーティブと呼ばれていた半独立企業だった乗用車部門は、伝説的なF1ドライバーであるアイルトン・セナにちなんで命名されたセナなど、世界で最も高価な自動車を製造している。マイク・フレウィットが運営するこのユニットは、マクラーレン・グループの売上の大半を占めている。
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