バーレーンで行われたシーズン中の公式テスト初日は、マクラーレン・ホンダにとって難しい一日となった。テスト兼開発ドライバーのオリバー・ターベイ(マクラーレン・ホンダのシミュレーター担当)がコース上で初めてMCL32のハンドルを握ったが、インスタレーションラップを走行した直後に、エンジニアがERSシステムの水漏れを検知。この問題の分析のために、パワーユニット交換を決断した。
チームは、マシンをコース上に戻すために懸命に作業を続け、ターベイは17:00すぎに再びマシンに乗り込み、2回目のインスタレーションラップを行った。チェッカーフラッグが振られるまでに、2度のタイム計測を実施。合計17周を走行し、一日を終了した。本日のテストでは走行距離は短かったものの、チームは空力およびパワーユニットに関する有効なデータを収集することができた。このデータを解析した上で、明日のテスト最終日の走行プログラムを決定する。明日のテストでは、ストフェル・バンドーンがドライブを担当する。オリバー・ターベイ「F1マシンに乗ることを楽しみにしていました。前回テストしたのは2年前なので、ここバーレーンで走行するチャンスをくれたマクラーレン・ホンダに心から感謝しています。今朝、問題が発生したために、コース上での走行時間をかなり失ったことは、残念でした。ただ私にとっては、F1マシンで走る一周一周が有益ですし、再びドライブできてよかったです。今日の最後に走行した際には、マシンの感触を十分につかむことができました。これからMTC(マクラーレン・テクノロジー・センター)に戻り、マシンとシミュレーターを同期させる作業に取り掛かりますが、ファクトリーでの開発に役立てることができればと思います。私はシミュレーター業務を数多く担当するので、シミュレーターと実際のサーキットでの走行を同期させることが非常に重要となります。今日は限られた走行となったものの、得られたものはあったと感じています。チームのメンバーは、ガレージで本当に懸命に仕事をしてくれました。私をまたコースに戻れるようにしてくれたことに、感謝しています。自分にとっての今日のポイントは、マシンとタイヤのパッケージ全体がどのように機能するのかという感触をつかむことでした。チームのテストドライバーの役目を担うのは今年で8年目ですが、前回ドライブした2015年のマシンと、今のマシンでははまったく異なるように思いますし、自分がマシンに乗って走行して得られる知識はチームに有益なものになると感じています。明日、ストフェルの走行プログラムを見ることも非常に役に立つと思うので、明日のテストも帯同する予定です。今回のテストの準備として、ここ3ヵ月間は精力的にトレーニングをしてきました。新しいマシンは前回のマシンよりもドライブが難しくなったことはわかっていましたが、マシンに乗る準備は十分にできていたと感じていました。高速コーナーは非常に速く、ダウンフォースのレベルは以前のマシンよりもずいぶん高いように感じました。今年のマシンは、ドライブするのがさらに楽しいクルマであることは確実です」エリック・ブーリエ (マクラーレン・ホンダ レーシングディレクター)「今朝オリバーがインスタレーションラップを走行したあと、ERSの水漏れを発見し、パワーユニットを交換する必要がありました。この問題はバーレーンでのグランプリ週末に発生した不具合に関連するものではないかと思っていますが、先日とは少し状況が異なる部分もあったので、ホンダのエンジニアが十分な調査を行うまで、詳細はわからないと思います。マシンをコース上に戻そうと、パワーユニット交換のために、ガレージで一生懸命仕事をしてくれたメンバー全員を褒め称えたいと思います。自宅を離れてすでに2週間になりますし、たださえ難しい仕事がさらに困難に感じられたことでしょう。マシンが元どおりになり、走行できる状態になると、MCL32で初めてオリバーがコースに出られた際は、うれしく思いました。オリバーがここバーレーンで走行する姿が見られてよかったですし、彼のサポートに感謝しています。チームは、明日のテストに向けて車体とパワーユニットを準備するために、いつものごとく夜を徹して作業を続けます。明日は、今日よりもさらに実りある一日にできることを願っています」中村聡 (ホンダ R&Dチーフエンジニア)「今日は、先日のレースで抱えていた信頼性の問題に取り組むべくテストに臨みましたが、残念ながら朝のインスタレーションラップ完了後に、先日と同様の箇所に水漏れの問題が発生してしまいました。今日の問題が先日の問題と同じものかについて、また、これらの問題がバーレーンの気候やサーキットレイアウトに起因するものなのかは現在分析中ですが、次戦のロシアGPまでには解決策を施すべく、現在懸命に取り組んでいます。テスト初日で予定通りに周回を重ねられなかったことは、少しでも開発を前に進めなければならない我々にとって良いことではありませんし、担当ドライバーだったオリバーに対しても申し訳なく感じています。ただ、まだ我々には明日の1日も残されています。そこで少しでも多くの周回を走行し、信頼性とパフォーマンスの向上に向けて開発を前進したいと思っています」
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