マクラーレンとホンダが契約を解消するという噂が過熱している。2017年のF1プレシーズンテストは、ホンダがF1復帰を果たした2015年よりも状況は危機的かもしれない。当時はホンダはF1に復帰したばかりでということで、マクラーレンもある意味大目に見ていた部分があったが、ホンダはもうすでに2シーズンF1で経験を積んでいる。
テスト初日には、オイルシステムの問題により開始早々にマクラーレン・ホンダはガレージに籠ることになった。問題の兆候は前日のフィルミングデーでも表れていたとされ、フェルナンド・アロンソは“アマチュアのようなトラブル”と斬り捨てた。ホンダは、メルセデス型のレイアウトを採用するために“サイズ・ゼロ”コンセプトを捨ててF1エンジンを新設計したが、望んでいたパフォーマンスは得られていない。そればかりか、原因不明の電源のシャットダウンが多発するホンダのF1エンジンは、8日間のテストで全チーム最下位の走行距離しか走れなかった。また、グランプリが開始して以降1シーズンでドライバーが使用できる4基のエンジン制限をテストだけですでに越えている。電源シャットダウンの原因はエンジンのバイブレーションが酷く、電源コネクションを激しく動かして、電気系に影響を与えていると考えられている。それは設計の根本的な欠陥ともいえる。また、マクラーレン・ホンダはテストでレース距離を走れなかっただけでなく、一日の最長スティントはわずか11周。さらに、ホンダがF1バルセロナテストで走らせていた構成は、2016年最終戦F1アブダビGPのエンジンよよりも約50馬力低かったとも噂されている。これにより、マクラーレンはシャシーの理解度を深めることができておらず、かなりの未知数とともに開幕戦を迎えることになる。マクラーレンとホンダは長期的なパートナーシップを結んでおり、2024年までの10年契約だと考えられてる。ホンダはマクラーレンに相当な財政負担をしているとされているが、2017年も結果を出せなかった場合、マクラーレンは、スタードライバーのフェルナンド・アロンソを失うだけでなく、優秀なスタッフも失い、コンストラクターズ選手権の賞金も下がり、新たなスポンサーも獲得できないという負のスパイラルに陥ることになる。だが、マクラーレンにはホンダを失っても痛くない理由がある。そればかりか、逆に競争力のあるエンジンが保証されている。昨年同意されたF1規約では、チームがF1エンジン契約を得られなかった場合、エンジンサプライヤーは特定の条件が待たされる限り、カスタマーにエンジンを供給しなければならないと定められた。実際、規約ではマクラーレンがどのエンジンを獲得するかは最終的には“くじ引き”で決まることになる。あるライバルメーカーは、興奮を煽るために抽選をテレビで生放送することを提案しているほど。だが、たとえマクラーレンがどのエンジンを獲得することになっても、現在のホンダよりは信頼性もパフォーマンスも優れている。皮肉なことに、この規約はホンダがマクラーレンにしかエンジンを供給していないことに対して定められたもの。過去にマクラーレンは共同で開発したホンダのエンジンを他チームに渡すことを拒否していたが、このような状況ではホンダのエンジンを欲しがるチームは出てこないだろう。その場合、ホンダは早々にF1撤退となる可能性もある。
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