世界ツーリングカー選手権(WTCC)第10戦カタールは、予選と同日に決勝レースが行われた。リバースグリッドで行われるオープニングレースは、予選トップのエステバン・グエリエリ(Castrol Honda World Touring Car Team)が10番手、ノルベルト・ミケリス(Castrol Honda World Touring Car Team)が11番手、道上龍(Honda Racing Team J.A.S.)は13番手からのスタートとなった。
午後9時20分にレースがスタート。好スタートを切ったノルベルト・ミケリスは、1周目に9番手に浮上し、さらに上位を狙う。エステバン・グエリエリは10番手をキープ、道上龍は14番手で1周目を終えた。3周目にはエステバン・グエリエリがノルベルト・ミケリスの前に出て、前車を攻めるが、追い抜きが難しいコースだけに、接近するものの追い抜くには至らずレースは終盤に入る。7周目にエステバン・グエリエリとノルベルト・ミケリスはポジションを入れ替え、ノルベルト・ミケリスが再び9番手に。緊迫したバトルが続いたが、ポジションは変わらず、10周のレースに決着がついた。ノルベルト・ミケリスが9位、エステバン・グエリエリが10位、道上龍は14位でレースを終えた。続いて行われたメインレースでは、エステバン・グエリエリがポールポジションからスタート。好ダッシュでトップを守り、1周目を終える。11番手スタートのノルベルト・ミケリスは、1周目に8番手に、13番手スタートの道上龍も好ダッシュで10番手にポジションアップした。周回ごとに後続を引き離す快走でエステバン・グエリエリはトップを独走し、一度もその座を脅かされることなく12周のチェッカーフラッグを受けた。ノルベルト・ミケリス、道上龍は接近したポジション争いを演じるも、ポジションを上げることは叶わず、ノルベルト・ミケリスが8位、道上龍が10位となり、ともに入賞を果たしている。エステバン・グエリエリは初のメインレース優勝をCivic WTCCで成し遂げた。最終戦を終え、ドライバーズランキングではテッド・ビョーク(ボルボ)がタイトルを獲得。ホンダ勢はノルベルト・ミケリスが2位、後半戦を欠場したティアゴ・モンテイロ(Castrol Honda World Touring Car Team)が8位、モンテイロに代わり3戦でCivic WTCCで出場したエステバン・グエリエリが4位(他車での参戦分も含む)、道上龍は14位となった。また、マニュファクチャラーズランキングはボルボが獲得。ホンダは20.5ポイントで2位となった。エステバン・グエリエリ (10位/1位)「優勝でシーズンを終えることができ、非常にうれしい気持ちです。Hondaに加入して、初めて勝つことができました。チームはオープニングレースのあとにマシンを改良し、その結果、メインレースでのCivic WTCCは、私のキャリアの中で最高のマシンでした。それは完ぺきで、私はレースを快適にコントロールすることができました。Hondaのマシンで世界選手権に参戦する機会を与えてくれたことに感謝します。ティアゴ(モンテイロ)の負傷によって叶っただけに、表彰台で彼と一緒に勝利を祝うことはとても特別な気持ちでした」ノルベルト・ミケリス (9位/8位)「私はこのカタールで最速のクルマを持っていましたので、タイトル獲得を実現するチャンスが最大限に生まれると思いました。残念ながら、それはうまくいきませんでした。しかし私自身、チャンピオンシップで2位になったことを非常に誇りに思います」道上龍 (14位/10位)「気温が下がったせいか、予選での不安定な挙動はレースでは収まりました。オープニングレースではスタートでホイールスピンさせてしまい、ポジションを落としてしまいました。また、そのあとも前に接近するとアンダーステアが強かったので、メインレースに向けてセッティングを調整して臨みました。メインレースでは、スタートもうまくいき、そのあとも比較的安定した走行ができましたが、前を抜くには至らず、終わってしまいました。なんとか10位になり、ポイントが獲れたことはよかったと思います。シーズン後半にはマシンにも慣れ、自分なりの走らせ方が好結果を生むようになってきたので、最後はもう少しいい結果で終わりたかったですが、フリープラクティスであまり走れなかったことが、最後まで響いてしまいましたね。今シーズンのこの貴重な経験を、今後に活かしていきたいと思っています。1年間、ご声援ありがとうございました」古川隆一 (Honda Civic WTCC 開発プロジェクトリーダー)「最終戦にあたり、タイトル奪取を狙ってエンジンをギリギリまでパワーアップして臨みました。その結果、目標としていた昨年のワークスシトロエンのベストラップを抜き、グエリエリ選手がメインレースでポール・トゥ・ウインを決めてくれたことは、その成果として満足できるものです。しかし、予選でのほんのわずかなトラブルでミケリス選手が好グリッドを得られなかったことは、本当に残念でした。ミケリス選手は走り出しから好調で、グエリエリ選手に勝るとも劣らない速さを見せていただけに、悔しい気持ちでいっぱいです。レースに勝つこと、そしてチャンピオンになることの難しさを実感したとともに、我々にはまだなにかが足りなかったのだと反省しています。この反省を次の戦いに活かすことが、自分の使命だと思っています。シーズンを終えて、悔しい結果とはなりましたが、チームのみんな、そしてこのプロジェクトを支えてくれた人たちに本当に感謝しています。また、応援してくれたファンの皆さまにもお礼申し上げます。ありがとうございました」
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