HRC(ホンダ・レーシング)社長によると、新組織設立時の試行錯誤を経て、ホンダにとって二輪部門と四輪部門の連携は改善し始めているという。MotoGPでホンダとそのリーダーであるマルク・マルケスによって大きく支配されたシーズンから4年、ホンダが経験した砂漠について多くのことが語られてきた。現在、ホンダは最下位に沈んでいるが、主に二輪事業に特化したチーム以外の力に頼ることで、挽回を図っている。
この共同作業は、ホンダのレース部門であるHRCが、二輪と四輪のレースをひとつにまとめたことで可能になった。そのため、F1を専門とするエンジニアがMotoGPのエンジン開発に介入し、ホンダをトップに返り咲かせるための共同作業で新たなソリューションを模索することができるようになった。HRCの社長である渡辺康治は、初はかなり複雑だったこの新しい作業方法が実を結び始めていると断言する。「ホンダの中で、二輪と四輪の文化はかなり違っています。そのため一緒の会社でやるのは相当難しいだろうと覚悟してスタートしました」と渡辺康治は説明した。「実際、運営方法から仕組み、購買システムなど何から何まで違うので、その統合で1年目は終わりました。2年目に入り、二輪と四輪の連携は進み始めています」「現在は、MotoGPの低迷がHonda/HRCとして大きな課題になっているので、オールHRC体制で強さを取り戻すしかない。そのために四輪の開発陣もMotoGPの開発にかなり入って、早期に成果を出せるよう動いています」渡辺康治にとって、MotoGPプログラムの課題を解決するだけでなく、マシンにとって何が有利になるかを理解することも不可欠である。二輪はレース会社としての活動が長いので、運営を含めレースをよく知っています。ほかにも、HRCのレースパーツを作り、それをディーラー経由で届け、ユーザーに使ってもらうというビジネスモデルも確立している。四輪は、そこはこれからです」と渡辺康治は語る。マルク・マルケスは、現在の課題をホンダに警告し、それを解決するために実行される手段について答えを得たいと考えていた。イタリアGPの傍らで、スペイン王者は渡辺康治やホンダのナンバー2である青山真二と面会した。渡辺康治は、ホンダが2026年にアストンマーティンと共同でF1に復帰する予定だが、MotoGPのプロジェクトが危うくなることはないと断言した。マルク・マルケスは、エンジンとして機能することを望むというよりも、両極の合併を歓迎した。「彼らがバイクに賭けていないという印象は一度もなかった」とマルク・マルケスは6月に断言した。「プロジェクトは今日も僕が10年か11年前に来たときと同じで、ブランドの関与も同じだ。彼らの仕事を見ているけど、ちょっとしたことが起こる。うまくいくこともあれば、そうでないこともあるけど、彼らがプロジェクトに興味を持ってくれているのはわかる。そうでなければ、ボスは僕に話をしに来ないだろう」「彼らが多くの可能性を秘めているのも事実だ。ここ(サーキット)で何が起きているのか、日本で何が起きているのかを知るのは難しい。哲学が違う。昨年から四輪と二輪が手を組んだので、これがMotoGプロジェクトに役立つことを願ってい」