ホンダF1は、山本尚貴の金曜フリー走行を実現させるためにレッドブルおよびトロロッソと協議を行っている。長年ホンダ系ドライバーとして国内レースで活躍してきた31歳の山本尚貴は、昨年、スーパーフォーミュラとSUPER GTでダブルタイトルを獲得。近年、レッドブルとホンダの育成ドライバーはF1のスーパーライセンスの取得基準を満たせずにいるが、山本尚貴はその基準を満たしている。
昨年、山本尚貴のチームメイトとしてホンダNSXでSUPER GTのタイトルを獲得したジェンソン・バトンは「個人的に山本さんはF1にいるべきドライバーだと感じている」と語っている。山本尚貴はアジア以外のレースに参戦したことはなく、30歳を超えている年齢もF1のフルタイム参戦の障害となっていたが、ホンダはグランプリ週末のセッションで山本尚貴を走らせることを実現しようとしている。その絶好のタイミングと考えられているのが、鈴鹿サーキットで開催されるF1日本GPだ。ホンダとレースプロモーターにとって日本人ドライバーの出走は後押しとなり、F1カーで山本尚貴の実力を評価するためにもうってつけのサーキットと言える。山本尚貴は、F1スーパーライセンスのポイント基準を満たしているため、フリー走行1回目の出走資格の取得はより簡素化される。F1フリー走行のライセンスを取得する場合、“代表的なF1カーで常にレーシングスピードで少なくとも300kmの走行”を行う必要があるだけだ。ホンダは、再びF1で日本人ドライバーがレースをするのを見たいと思っていることを明らかにしている。F1で最後の日本人ドライバーは、2014年の小林可夢偉となる。ホンダ系ドライバーとしては、2008年のF1スペインGPで佐藤琢磨がスーパーアグリから参戦したのが最後となる。しかし、ホンダの育成ドライバーはジュニアカテゴリーで苦戦を強いられており、ホンダがレッドブルとトロロッソの関係を利用するために必要なスーパーライセンスポイントの獲得に失敗している。松下信治は、2019年にスーパーフォーミュラを10位で終えた後、今年からF2に復帰。オーストリアで優勝を果たしてるが、チャンピオンシップは8位となっている。角田裕毅と名取鉄平は、FIA-F3に初参戦している。角田はレッドブルからもサポートを受けているがランキング13位、名取は15位と成績は伸び悩んでいる。昨年、ホンダの育成ドライバーとしてF2に参戦していた福住仁嶺と牧野任祐は今年スーパーフォーミュラのみに参戦しているが、それぞれランキング10位と12位に沈んでいるホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史は、現在の育成ドライバーの状況について「彼らはチャンピオンシップを獲得するか、良い結果を出さない限り、F1にいることはできません」と Autosport にコメント。「スーパーフォーミュラには何人かドライバーがいます。山本尚貴はチャンピオンシップをリードしています」「現在のF1のトレンドを考えれば、彼は少し年齢が高いです。昔は問題なかったんですけどね! 現在の状況には適さないかもしれませんが、彼を含め、シーズンのどこかでFP1に誰かを出走させたいと思っています」「我々はその機会についてレッドブルおよびトロロッソと議論を続けています」