ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、2019年型F1エンジン『RA619H』はレッドブル・レーシングからよりコンパクトな設計を要求されたものの、パフォーマンスに妥協を強いられてはいないと語る。レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナーは、ホンダのF1パワーユニットのパッケージングはこれまでのマシンのなかで最高であり、その美しさをスイス製の時計に例えている。
ホンダは、2015年にマクラーレンのパートナーとしてF1復帰した際に同チームの“サイズゼロ”コンプトに合わせて極端にコンパクトなF1エンジン設計を試みたが、パフォーマンスと信頼性の両面で苦戦を強いられることになった。しかし、ホンダは2019年もコンパクトなF1エンジンを設計するというアップローチは継続しており、それによってパフォーマンスが傷つけられることはないと主張する。パフォーマンスとパッケージング間のトレードオフについて質問された田辺豊治は「我々は中立だと考えています」とコメント。「パワーユニットのパフォーマンス、またはトータルのパッケージでのパフォーマンスについては、レッドブル・レーシングとスクーデリア・トロ・ロッソの両方と多くの議論を重ねてきました。解決するための妥協点を見つけていますし、その方がいいです」「より多くのパワーがあれば、パフォーマンスは向上しますが、その一方でシャシー側に損失が出てきます。ベストな妥協点はどこか?ということです。そのようにして我々は全体的なパッケージとしてのベストなパフォーマンスを決定しています」田辺豊治は、レッドブル・テクノロジーによって、よりコンパクトなF1エンジン設計への取り組みが駆り立てられたと語る。「レッドブル・テクノロジーがチーム間でそれを議論してくれたことで、我々の仕事は非常にシンプルなものになりました」と田辺豊治は語る。「目的はコンパクトかつ素晴らしいものにすることです。そこが我々がオフシーズン中に行ってきたことです」また田辺豊治は、ホンダは2019年型F1エンジンでコンセプト自体は昨年までのものを継承したことで、信頼性面で進歩を果たしたと自信を持っている。「昨年のコンセプトを引き継ぎました。つまり、2017年からコンセプトを引き継いでいることになります」と田辺豊治はコメント。「その理由のひとつは、今年パワーユニットレギュレーションが変更されないことにあります。そのため、我々は引き続き自分たちのパワーユニットに取り組んできました。パワーユニットは、ICE(内燃機関)と他のERS(エネルギー回生システム)コンポーネントを意味します」「我々は今年に向けてパフォーマンスと信頼性を改善させています。エンジンは新しいものではなく、アップグレードされたものです」マクラーレンは、2017年にホンダが導入したコンセプトに信頼性とパフォーマンスを確信できずにパートナーシップを解消したが、田辺豊治はそれ以降に成し遂げてきた向上に自身を持っていると語る。「私はそれ以前の年には直接関わってはいませんでした。ですが、昨年からF1プロジェクトを研究していましたし、信頼性は大いに改善されていると信じています。年間を通してパフォーマンスも改善してきました」「そして、昨年序盤にはトロロッソと良い結果を出しました。現在、R&Dだけでなく、ホンダ内の状況は順調に進んでいます」ホンダは、レッドブル・レーシングとトロロッソにまったく同じ仕様のF1パワーユニットを供給する予定だが、今回のバルセロナテストでは両チームで“わずかに異なる”仕様をテストしていると付け加えた。