ホンダF1は、トロロッソとの新たなパートナーシップを開始するタイミングでチームの体制変更を変更。過去3年間よりもF1パワーユニット開発で迅速な意思決定を実現できるようになったと語る。昨年まで、ホンダはF1プロジェクト総責任者である長谷川祐介が現場と技術開発の両方を担ってきた。しかし、今季からは田辺豊治がF1テクニカルディレクターとして現場を仕切り、HRDさくらでは新たに浅木泰昭が研究開発を統括する。
本田技研工業のータースポーツ部長を務める山本雅史は、新しい体制により、合理的な開発アプローチが導き出されたと語る。「田辺は我々の過去のF1でのチャレンジ、そして直近ではインディカープロジェクトを率いており、レース現場での経験が非常に豊富です」と山本雅史はコメント。「彼のマネジメントのスタイルは、リーダーとしてエンジニアたちの作業に入り込み、情報を収集しながら判断を下すタイプで、エンジニアたちやトロロッソのメンバーととても近い距離で仕事ができることが強みだと思います」「浅木はこれまでもホンダで苦境にあったプロジェクトをいくつも立て直し、大きな成功に導いてきたリーダー。取捨選択がうまい人で、今何をやらなくてはいけないかについて明確に判断を下せることが強みです」「さくらでは彼はすでにこれまで行われてきた開発内容を整理し、焦点を当てるべき部分を明確にしました。一部の開発については止める判断を下し、結果として集中的に開発を進めたい部分に人材や投資を集める体制が築い、より素早く進展させることができます」田辺豊治は「サーキットオペレーションのより細かな部分まで見ることができている」と語る。「パフォーマンスを向上させるためには、さくらのチームが緻密な開発をする必要があり、それには現場からの正確な情報伝達が不可欠だと考えています。開発陣へ情報を届けることで、さくら側はそれに素早く反応し、仕事に優先順位をつけて対応できます」マクラーレン・ホンダ時代は、マクラーレンの企業規模により、変化への適応が難しかったが、トロロッソは若いチームであり、より柔軟に開発に取り組むことができていると山本雅史は語る。「マクラーレンと組んでみて分かりましたが、企業の規模が大きいと、とてもシステマチックになります。もちろん、それが大きな強みであることは間違いないのですが、同時に変化に適応していくことは難しくなります」と山本雅史はコメント。「その点、トロ・ロッソはまだ成長途上にある企業です。同じゴールを目指して一緒に歩んでいける関係であることが重要です。いいコミュニケーションをとりながら仕事ができることを、本当に楽しみにしています」「(チーム代表である)トストさんは日本について造詣が深く、文化を理解しているので、いいコミュニケーションが取れています。また、トロ・ロッソは若いチームで成長の最中にあり、ホンダにとっては、似たようなメンタリティー、アプローチでともに戦えるということも大きいです。考え方の近いチーム同士、一緒に前進できると思います」トロロッソ・ホンダではチーム代表のフランツ・トストがチームを率い、その下で田辺豊治はパワーユニットの運用など技術面について、トロロッソ側のテクニカルディレクターのジェームス・キー氏と直接連携する形になった。「F1の世界は、昔と変わっていない部分もありますが、エンジンから新たにパワーユニットというシステムに変更されたことで、多くの変更が必要になっています」「また、トロロッソという新たなチームと仕事をするという意味では、全員が私と同じ状態です。『これがトロロッソのやり方だから』と言う人間はいませんし、現場でのオペレーションをどう作り上げていくかを、日々模索していかなければいけません」「過去3年間のやり方を大きく変えるわけですから、慣例化していたこともあるわけで、時間はかかるかもしれません。でも、この新しい体制では、何がベストなのかを突き詰めて議論することができています。我々はこれが最善の手法だと思っていますし、トロロッソもそう感じてくれていますから、このやり方がうまくいくと思います」「トロロッソとのチーム結成が決まってから、たくさんのことを話し合ってきましたしチームとして効率を上げていくために毎日議論を重ねました。現時点では、問題なく非常にうまく連携できていると感じています」
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