ホンダがザウバーにF1エンジンを供給するという契約は実は有効化されていないと報じられている。11日(火)、Bild は、ホンダが2018年のF1エンジン契約を破棄したと報道。複数の海外メディアがこぞってこの話題を取り上げた。しかし、この件に詳しいとされる情報源によると、状況はわずかに異なり、今年序盤に発表されたザウバーとホンダの契約は正式には成立しておらず、有効化されていないという情報が出てきた。
Bild の報道では、ホンダ側がチーム代表のモニシャ・カルテンボーンを解任したザウバーに不満を抱いて契約を破棄したとされているが、新たな情報では、逆にザウバーのオーナー側が、2018年にホンダよりも競争力のあるエンジンの獲得を目指すことを決定したとされている。この件について回答を求められたホンダの広報担当は「まったくのメディアの憶測です。我々は憶測にコメントすることはありません。ホンダのザウバーとの関係は変わっていません」と述べている。この“変わっていません”との言葉が重要かもしれない。ホンダが今年4月に発表したリリースでは、2018年シーズンからザウバーにカスタマーパワーユニット供給を“決定”したとあるが、“契約”の文字はどこも記されていない。ホンダとの交渉はモニシャ・カルテンボーンとの間で行われたが、彼女はすでにチームを離れている。ザウバー・ホールディングスの会長パスカル・ピッチは、モニシャ・カルテンボーン退任のプレスリリースのなかで“会社の将来に対する異なる見解”だと述べていた。そして、そのモニシャ・カルテンボーン解任の原因となった“異なる見解”のひとつがホンダとの契約だったと考えられている。今年、ザウバーはもはや開発されることのない1年落ちのフェラーリ製パワーユニットで苦戦を強いられているが、それを決めたのもモニシャ・カルテンボーンだ。ザウバーの新オーナーは、来シーズンも競争力のないエンジンを搭載する余裕はなく、適切なエンジンを獲得することに集中していくことを決定したとされている。パスカル・ピッチは、この件についてコメントしておらず、ザウバーが今後どのようなルートで2018年のエンジンを獲得するかは定かではない。最適なオプションは、長期的にパートナーシップを結んできたフェラーリとの契約を延長することだと考えられるが、ここへ来て、マクラーレンがフェラーリにエンジン供給を打診したと報じられている。マクラーレンがホンダとの決別を選んだ場合、メルセデスへの載せ替えが既定路線だとみられていたが、今はフェラーリと提携する可能性があるという。フェラーリが、ハースと並んでマクラーレンへの供給を決定した場合、ザウバーがフェラーリ製エンジンを搭載することは一筋縄ではいかないかもしれない。だが、マクラーレンがフェラーリを搭載することになった場合、2018年のメルセデスのカスタマー枠は空くことになり、ザウバーが契約を結ぶ可能性が開ける。特に現在、ザウバーではメルセデスの育成ドライバーであるパスカル・ウェーレインが走っている。一方、ルノー・スポーツF1のシリル・アビテブールは、ルノーは2018年にあと1チームに供給することは可能だと述べているが、元ルノーのチームプリンシパルを務めていたフレデリック・バスールがザウバーの新チーム代表に就任したことで、契約が妨げられる可能性がある。フレデリック・バスールは、昨シーズン末にルノーと事実上の仲たがいによりチームを離れているからだ。そして、ザウバーとの合意が破綻した場合、ホンダのF1プロジェクトにどのような影響を与えることになるかはまだわからない。ザウバーとの合意は、ホンダがマクラーレンと決別した場合でも、2018年にF1に存在し、レース状況でエンジンを開発し続けることが保証されている。だが、仮にマクラーレンと決別し、ザウバーも離れていった場合、ホンダはF1の表舞台から姿を消すことになる。ホンダはF1撤退を否定している。
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