松下信治は、アブダビで開催されたGP2シリーズ最終戦のレース1で2位表彰台を獲得した。GP2シリーズのレース1は日の暮れた午後6時40分にスタート。2列目4番手からスタートした松下信治は、好スタートを決めて3番手に浮上。上位陣の多くが早めにタイヤ交換をする作戦をとったのに対し、松下信治は1セット目にハードタイヤを履いていたため、ピットインをレース終盤に行う作戦を選択した。
上位陣がピットインした7周目にトップに立った松下信治は、ハードタイヤでもハイペースを保ち続ける。逃げる松下信治を、ピットインを済ませたライバルたちが追う展開となった。レース終盤の27周目にピットインした松下信治は3番手で復帰。2番手はすぐ前を走っていて、ニュータイヤの松下信治はあっさりとパスする。その次の周にはファステストラップを叩き出し、後続を引き離して31周のレースを2位でフィニッシュ。モナコでの優勝以来、久々の表彰台となった。松下信治「最初はスーパーソフトでスタートしようかと、エンジニアと相談していたのですが、大部分のドライバーもそうすると思いました。同じ戦略をとって上位勢をコース上で抜くのは難しいだろう。だったらミディアムでスタートすることに賭けてみようと決めました。失うものはありませんから。スタートは元々自信があったので、ミディアムでもしっかり決めることができました。1コーナーまでに3番手に上がって、チームメートに並びかけましたけど、向こうがピットインが早いのは分かっていたので、無理はしませんでした。トップがピットインしてからは、ずっと単独で先頭を走り続けたのですが、タイヤはそんなに厳しくなかったですね。それでもフロントはさすがにきつくて、かなり労りながら走りました。ただペースはよかったです。終盤タイヤ交換してからは、前車を抜くのは簡単だったし、最速タイムも出せたし、いい展開でした。唯一の心配は、セーフティカーでした。もし出ていたら、せっかくの作戦が水の泡でしたから。出なくて、本当によかったです。勝てなかったので、会心のレースではないですね。でも合格点のレースでした。来年はこれを、毎戦したいと思います。タイトルを狙おうと思ったら、毎回こういう走りをしないといけないわけですから。今はうれしい気持ち以上に、ホッとしています。モナコで勝って以降、全然自分らしい走りができなかった。でも、ちゃんとやればできるんだというのが、結果として出ましたから。もちろん優勝が一番うれしいですけど、それは次回に取っておきます」