多くのF1チームは、フェラーリのF1エンジンの優位性の背景にあると考えられている設計面の合法性を明確化するためにFIA(国際自動車連盟)に意見を求めている。今季、フェラーリのF1エンジンはストレートで大きな優位性を誇っており、いくつかのサーキットでは最大で0.8秒のアドバンテージがあると考えられている。
夏休み以降、フェラーリは5戦連続でポールポジションを獲得し、3勝を挙げている。特にF1シンガポールGPで投入された大幅な空力アップグレードは、逆転だったコーナーリングでのパフォーマンス不足を補った。弱点を克服したフェラーリは、一時は差を縮められていたレッドブル・ホンダは再び引き離し、メルセデスでのパフォーマンスにも匹敵するようになった。ひとつの理論として報じられているのは、フェラーリはインタークーラーからオイルをリークさせ、少量のオイルが燃焼プロセスに入ることで、短期的なパワーをアップさせていると考えられている。インタークーラーにオイルを使用することはレギュレーションで許可されているが、“通常の燃焼を目的とした燃料を除き、液体の蒸発潜熱を利用していはいけない”と記されている。フェラーリのライバルの少なくとも1チームは、それが予選のアドバンテージの一部になっている可能性があると考えており、そのような方法が許可されるのかどうか明確化を求めているという。また、フェラーリのエネルギー回生システムも注目を集めている。昨年、FIAはフェラーリのF1マシンにセンサーを追加し、ERSとバッテリーの使用量に関する疑問を明確化しようとしたが、不正は見つからなかった。FIAは「FIA F1世界選手権のパワーユニットの技術規約への適合に関するすべてのパラメーターの監視を続けている。現在の設計に関して競合他社から競技は受けていない」と述べた。以前にF1レースディレクターを務めていたチャーリー・ホワーティングであれば、このような問題提起について明確な方向性を示していた。これによって懸念は公然と議論され、異議申し立ての必要性なしに解決されていた。しかし、チャーリー・ホワイティングが亡くなった後の現体制では、まだそのようなプロセスが確立されていないことで、メディアを通して様々な憶測が報じられる状況となっている。