ジュール・ビアンキの死を受け、元F1ドライバーたちは21年間に渡って悲惨な事故が起きなかったのは“奇跡”だと声を揃えた。 2014年のF1日本GPでの事故で重い脳外傷を負ったジュール・ビアンキは、以後9カ月、意識を取り戻すことはなく、17日(金)に他界した。最近ではF1が“安全過ぎる”と指摘する声が聞かれるようになったが、ジュール・ビアンキの事故と死はF1の危険性を改めて知らしめている。
F1のレジェンドであり、メルセデスの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは「この悲しい瞬間に、我々は一番大事なことを忘れてはならない」と Bild am Sonntag にコメント。「過去21年間に渡ってこのようなことが起きなかったのは奇跡だ。奇跡であることを強調しておく」「安全性に関してどれだけ多くの取り組みがあったかはご存じだろうが、それでも、結局のところ、20台のマシンが時速340kmの速さで走り周るのがF1だ」F1界がジュール・ビアンキの死去を悼む以前、ジュール・ビアンキの家族は事故が発生した当時の状況に批判的だったことは知られており、法的措置の可能性も否定していない。 もう一人のレジェンドであるアラン・プロストは、2014年10月に鈴鹿で起きた出来事の結果として学ぶべき重要なレッスンがあると語る。「これから言うことは事故後に言ったことと同じだ。私の意見は変わっていない」とアラン・プロストは i TELE に述べた。「結果的に大きな損害を受けることになったあのよな状況における小さな誤算を語るにとどめる必要があると思っている。土砂降りの雨で非常に視界が悪い中で起きたアクシデントだ。トラックへの進入を許可する前に、レースを抑制するセーフティカーを導入する必要があった」 「それが間違いだった」と語るアラン・プロストは、ダブルイエローが掲示されているにもかかわらず、ジュール・ビアンキが速度を出しすぎていた点に触れ、「FIAの調査でいろいろとわかったことは知っている」とも話した。 「レースサーキットにおける安全性に関しては、本当に多くの取り組みがなされている。それは過去21年に渡って死亡事故が起きていないことからもわかるだろう」 同じく元F1ドライバーのパトリック・タンベイは「感情が収まれば、事故状況に関する疑問が再浮上するだろう」と RMC にコメント。「しかし、F1はF1だ。ドライバーたちは可能な限り速く競おうとするし、それが彼らの遺伝子だ。タイミングが良くなかった上に、いくつかのミスも重なった。とはいえ、現時点でそれを議論しても無駄だ。今は彼のことを思い、この悲しみと向き合いたい」 Bild と Auto Motor Und Sport は、ジュール・ビアンキが死亡するに至った事故を受けて、近い将来、F1マシンに新しい高速カメラが搭載されることになると報じている。iPhoneの半分のサイズというカメラの技術開発は、マニエッティ・マレリが手がけると報じられており、いまだかつてないスローモーション再生を可能にし、ドライバーの頭部が衝撃を受ける様子を記録するという。また、Die Welt は、ジュール・ビアンキの事故の公式映像はFIAによって“永久に非公開”されると報じた。
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