F1のコマーシャルディレクターを務めるジョーン・ブラッチズは、F1イギリスGPは必ずしもシルバーストンで開催されなければならないわけではないと牽制した。昨年、シルバーストンの責任者は、以前のオーナーとの間で締結したF1開催契約の解除条項を行使。現在の契約下では2019年が最後のレースとなっている。
シルバーストンの解除条項の行使は、より有利な条件で契約を結び直すための駆け引きだと考えられてる、新しい契約交渉は公的には進展していない。2016年後半にF1の商業権を引き継いだリバティメディアは、イギリスGPのような歴史的なレースを維持したいと考えているが、その一方で、新たに2020年からベトナムGPがカレンダーに加わることを発表し、マイアミでのグランプリ開催も目指すなど、新規開拓にも力を入れている。ショーン・ブラッチズは、F1で最もアイコニックなサーキットのひとつであるシルバーストンを入れ替えることを恐れてはいないと語る。「我々には68年の歴史があるが、グランプリレーシングの本質はダイナミックであることだ」とショーン・ブラッズはF1のプレスリリースでコメント。「シルバーストンは最初のグランプリが開催され場所ではあるが、その68年間の全てのレースがシルバーストンで開催されたわけではない。ブランズハッチや他の場所でも開催されている。このスポーツではレースをする場所に関して不変ではない」「確かに我々は特定のレースを高く評価しており、そこでのレースを保護するためにできることをしていく。だが、我々はビジネスをしているう。我々は上場企業であり、多くの投資家と株主がいる。そして、ビジネスで成功を収めながらファンにとってベストなものと結びつこうとしている」F1イギリスGPは、1950年に最初の世界選手権をスタートして以来、常にF1カレンダーに絶えず存在してきた。シルバーストンは、20年以上にわたってブランズハッチと交互開催していた時期はあったが、1987年以降は唯一のF1を開催する英国のサーキットとなっている。ショーン・ブラッチズは、元ヨーロッパGPの会場であるブランズハッチは、現在、必要なレベルには達していないと語っているが、リバティメディアはロンドンでのレース開催も諦めていない。また、ショーン・ブラッチズは、F1カレンダーに様々なタイプのサーキットを織り交ぜたい考えており、ベトナムの首都ハノイで提案されたのと同じような市街地サーキットを今後も増やすことを重視していると述べた。「我々は3つに分類して考えている。ひとつは、伝統的なレースを維持したいと思っている。それらはF1にとって非常に重要であり、ファンにとって非常に重要だ。シルバーストン、スパ、モンツァなどがそれにあたる」「次に、ストリートレースや公園や公道を走るハイブリッド市街地レースがある。メルボルン、モントリオール、メキシコシティといった場所だ」「第3のセグメントは、上海、オースティン、テキサスやバーレーンのように専用に作られた施設だ。それらを越えて、我々はさらなる市街地レースを確保したいと考えている。そのため、今回のレースは我々のビジョンにおける次の一歩となるものだ」ショーン・ブラッチズは、ベトナムのハノイのような都市でのレースをさらに増やすことを思い描いているし、F1は世界中から寄せられるオファーの中から次にどこへ行くべきかを慎重に考えていると述べた。「我々が重視していることのひとつは、グランプリレーシングをアイコニックな都市のダウンタウンエリア、つまりファンを最も魅了できる場所に拡大することだ」とショーン・ブラッチズは述べた。「現在のグランプリの大部分は、都市から30分から1時間ほどかかる郊外にある。その点、ハノイのレースは我々が考えていたゴールの1つを満たすものだ。アイコニックな都市のスリリングな市街地サーキットでのレース開催というね。グランプリレーシングとはこうあるべきというベトナムのコンセプトは我々のスポーツのビジョンとマッチしている」「我々の元には世界中の都市、州、国、自治体から関心が寄せられており、レースプロモーションに関してマーケットに出ていく方法については非常にリズミカルなアプローチを取っている。そして、潜在的レースが、既存の構造や将来進みたいと願っている方向にうまくフィットするように慎重に選択している」「F1は歴史的にやってくる人々に対しては非常にリアクティブだったが、我々は自分たちのブランド価値に沿って、新しい方法でファンを取り込む機会を与えてくれると考えられるマーケット進出にはプロアクティブに動いてきた。市街地サーキットはそのための素晴らしい方法だ。これまでは、モナコ、バクー、シンガポールがあった。今回の契約はそのラインナップに加わるのに相応しいものとなった」