中東情勢の急激な悪化により、2026年F1カレンダーの4月ラウンドが消滅する可能性が浮上している。バーレーンGPとサウジアラビアGPは、現在続く戦争の影響で開催が危ぶまれており、F1は難しい判断を迫られている。現地からの情報によれば、両レースが中止となった場合でも代替イベントは開催されない可能性が高い。結果として、2026年シーズンは4月にグランプリが行われない異例の事態となる可能性がある。
中東戦2連戦が消滅する可能性中東では先週、アメリカ主導の軍事演習をきっかけにイスラエルとイランの衝突が激化し、全面的な軍事衝突に発展した。イランの報復攻撃により、クウェート、カタール、アブダビ、バーレーンなど湾岸地域の各地が攻撃を受けている。ミサイル攻撃が続くなかで中東上空は事実上の飛行禁止空域となっており、国際的な移動にも大きな混乱が生じている。この影響はモータースポーツにも及んでいる。世界耐久選手権はカタール・ルサイルで予定されていた開幕戦を延期し、MotoGPも同地で予定されているレース開催が困難になるとの見方を示している。F1も同様の状況に直面しており、4月12日に予定されているバーレーンGP、そしてその1週間後に予定されているサウジアラビアGPの開催は極めて不透明となっている。安全と物流が最大の障害FIAとF1は現在、関係当局と連携しながら状況を監視していると説明している。しかし問題は安全だけではない。仮に戦闘が短期間で沈静化したとしても、最大の障害となるのは物流だ。F1の機材輸送は航空輸送に大きく依存しており、飛行禁止空域が続く限り輸送計画そのものが成立しない。さらに、開幕前に行われたタイヤテストの中止後には、ピレリ、メルセデス、マクラーレンのスタッフがバーレーンから脱出する対応が必要になるなど、すでに現地では混乱が発生している。関係者の安全確保が最優先となる以上、開催判断は慎重にならざるを得ない状況だ。代替開催の可能性は低い中止となった場合、イモラ、ポルティマオ、トルコなどが代替候補として噂されている。また、鈴鹿サーキットで日本GPの翌週に2週連続開催する案も一部で取り沙汰されている。しかし関係者の見方では、実際に代替レースを開催する可能性は低いとされる。最大の理由は時間だ。新たなグランプリを開催するにはサーキット準備、マーシャル確保、チケット販売、プロモーションなど多くの準備が必要になるが、数週間で整えるのはほぼ不可能とされている。加えて、F1は現在24戦カレンダーを採用しているが、22戦に減っても放映権やスポンサー契約の条件は満たされるため、無理に代替レースを開催する必要もない。10日以内に決断の可能性パドック関係者の間では、両レースの開催可否は今後10日ほどで判断される可能性が高いと見られている。チームの機材は日本GP後に鈴鹿からバーレーンへ輸送される予定になっているため、それまでに方針を決めなければ輸送計画の変更が間に合わないためだ。また、F2の機材は中国GPに向かわずオーストラリアから直接バーレーンへ輸送される予定となっており、この点でも早急な決断が求められている。4月はF1空白の月になる可能性もしバーレーンGPとサウジアラビアGPが中止となれば、日本GPからマイアミGPまで大きな空白期間が生まれる。その場合、チームは予定外の時間を利用してマシンをファクトリーへ戻し、大規模なアップデートやメンテナンスを行う可能性もある。さらにはヨーロッパでテストを追加する案も検討される可能性があり、2026年の新世代マシン開発にとって重要な時間になるかもしれない。ただし現時点では、すべては中東情勢の行方次第だ。F1は史上最大級とも言える地政学リスクの中で、2026年シーズンのカレンダー維持という難題に直面している。