レッドブルF1で厳しい立場に追い込まれていた角田裕毅に、思わぬ追い風が吹いてきた。ここ7戦連続でノーポイントに終わり、来季の契約延長はほぼ絶望的と見られていたが、チーム代表クリスチャン・ホーナーの電撃解任が流れを一変させた。後任のローラン・メキースは、姉妹チーム時代から角田裕毅と関わりが深く、「結果より才能で判断する」姿勢を示している。新体制の下で角田裕毅は再び評価される可能性が高まり、F1オランダGPを前にその去就に大きな注目が集まっている。
角田裕毅は、今週末のF1オランダGPでシーズンが再開されるにあたり、大きな改善が求められている。直近の成績不振でキャリアは危機的状況にあり、契約延長の可能性はほぼ絶望的と見られていた。夏休み前、角田裕毅はランキング18位に沈み、2006年のクリスチャン・クリエン以来となるレッドブルドライバー最低成績に向かっていた。また今季の10ポイントのうち3ポイントは、リアム・ローソンに代わってレッドブルに昇格する前、レーシングブルズ時代に稼いだものだった。ローソンがレッドブルに復帰する可能性は低いものの、4戦中3度の入賞という結果は象徴的に角田裕毅へのプレッシャーを強めた。さらにアイザック・ハジャーは今季最高のルーキーとの評価を受け、角田裕毅の立場を揺るがしている。一方で、F2のアービッド・リンドブラッドはレーシングブルズ昇格が有力視されていた。つまり、フェルスタッペンのシートを除けば3枠を4人のドライバーで争う構図となっていた。バレット「レッドブルは現状維持の可能性」BBCのアンドリュー・ベンソンは休暇直前、「角田裕毅が来季F1に残る可能性はほぼゼロ」と報じていた。だがホーナー解任で状況は変化し、後任のメキースは角田裕毅を才能で評価する立場にある。F1TVのローレンス・バレットはYouTube配信で、「ローラン・メキースは結果より才能で判断する」と強調。来季も角田裕毅が残留するシナリオを十分に考えられると語った。バレットは「レッドブルは2026年に向け、同じ4人のドライバー体制を維持する可能性がある」とし、その場合リンドブラッドはF2に残ると予想。18歳の彼は現在ランキング7位につけている。「自分がF1を取材してきた中で、今が最もレッドブルの判断を読みにくい」とバレットは語る。「ローラン・メキースの就任に加え、オーストリア本社の影響力も強まっており、まだ方向性が不透明だ」「ただローランは角田裕毅と良好な関係を築いており、それが残留理由になるかもしれない。彼は角田裕毅の才能を信じているし、彼の下でより良い働きを見せる可能性もある」「問題は、もしリンドブラッドを昇格させるなら誰かを外さなければならないという点だ。ローソンは直近で入賞を重ね、アイザック・ハジャーは傑出したルーキー。そしてローランは角田裕毅の才能を評価している。だから安定を重視するなら現状維持の方針も考えられる」ハジャー、レッドブル昇格に慎重姿勢角田裕毅にとって追い風となるのは、アイザック・ハジャー自身がレッドブル昇格に慎重な姿勢を示していることだ。通常ならトップチーム入りは願ってもない機会だが、彼は「扱いにくい」マシンで苦しんだ前任者たちを見てきた。そのため舞台裏でも「レッドブル昇格に強い抵抗感を持っている」とされる。もし経営陣が彼を角田裕毅の後任候補と見ていたとしても、この態度が決断を鈍らせる可能性がある。もしかするとアイザック・ハジャーは、2027年にマックス・フェルスタッペンがチームを離脱するのを待っているのかもしれない。4度の世界王者が築いたほぼ不可能な基準が消えた後なら、プレッシャーが軽減されるからだ。もっとも、フェルスタッペン不在のメキース率いるチームは中団に後退している可能性もある。
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