2026年にF1参戦を果たすキャデラックのドライバー候補として、角田裕毅の名前が再び注目を集めている。レッドブル本隊への昇格後は厳しい評価基準に晒され苦戦が続いており、ホンダとの提携終了も控える中、F1キャリア継続には新天地が必要となる可能性が高い。すでにモナコGPの週末にはキャデラック側と非公式な接触があったとされ、マーケティング面と経験値の両面で強みを持つ角田にとって、この新興チームは“第二章”の出発点となり得る。
キャデラックは、初戦となるF1オーストラリアGPに向けて準備を加速させている。F1にとって11番目のチームとしてグリッドに加わるこのアメリカンブランドは、バルセロナとバーレーンでの10日間のプレシーズンテストを経て本格的なデビューを迎える。一方で、注目のドライバーラインアップはまだ発表されていない。チームは「今はマシン開発が最優先」としており、ドライバー決定はまだ先と明言している。マシン開発が最優先 ドライバー決定は「その後」キャデラックF1のチーム代表を務めるグレーム・ロウドンは、先日メディア向けに新ファクトリーの内覧会を実施。その場で「ドライバー選定が他チームほど優先事項になっていない」と語った。「ある見学者がこう言った。『ここまでの規模の準備が進んでいるのを見ると、他チームのようにドライバーを最優先にしない理由が分かる』と。まだ何も決まっていないが、我々はまずクルマを仕上げる必要がある」とロウドンは説明した。またF1のドライバー市場は、例年夏に活発化する“シリーシーズン”に突入しつつある。マックス・フェルスタッペンの将来的な移籍説など、トップドライバーの去就次第で市場全体が大きく動く可能性もあり、キャデラックとしても焦って動く必要はないと判断している。本命候補:セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスロウドンは「市場の状況は把握しているし、我々が必要とする人材像も明確だ。初年度のチームにとっては経験のあるドライバーが非常に有益になる」と述べ、経験豊富なドライバーを起用する方針を示唆した。そこで筆頭候補とされているのがセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスの2名だ。ペレスは2024年末でレッドブルを離れ、現在はフリーの立場。レッドブルではフェルスタッペンと比較され続けたことで苦しい時期が続いたが、2023~2024年の成績に対しては再評価の声もある。ESPNによると、キャデラックはペレスの契約終了後すぐにコンタクトを取ったという。現在は家族と過ごす時間を楽しんでいるものの、ペレスは今なおラテンアメリカ市場で絶大な人気を誇り、新興チームの顔としては理想的な存在だ。ボッタスもまた、メルセデス時代の経験に加え、ザウバーでの再起を果たした安定感あるベテランとして評価されている。最近では自身のSNSにキャデラックのシートに座る写真と共に「これは快適だ」と投稿し、ファンの注目を集めた。すでにキャデラック側と交渉が進行中とされ、加入の可能性は高い。角田裕毅にとってキャデラックは「救済」となるかそして注目すべきもう一人の候補が角田裕毅だ。2025年シーズン途中にレッドブル本隊へと昇格した角田裕毅だが、日本GP以降は苦戦が続いている。マックス・フェルスタッペンという絶対的エースと同じマシンで戦うという状況は、かつてペレスが直面したのと同様の厳しい比較に晒されており、実力の正当な評価が難しい環境にある。昇格の裏側には、ホンダによる2025年限りのエンジン供給契約と引き換えに、角田裕毅のレッドブル昇格を促す動きがあったとされている。しかし、そのホンダがF1から撤退する今、レッドブルにとって角田を残留させる理由は薄れつつある。そうした中で、キャデラックという新チームは角田裕毅にとって“第二のF1キャリア”を築くための理想的な舞台となる可能性を秘めている。ESPNの報道によれば、角田裕毅の代理人は2025年モナコGPの週末にキャデラックと接触しており、非公式な話し合いが進められていたという。4月の昇格によって一時中断されたものの、現在のパフォーマンス次第では再び交渉が活発化する可能性が高い。角田裕毅はレッドブル系チームでのF1経験が豊富で、マシン開発やチームとの連携にも定評がある。さらに日本と欧州をまたぐ広範なファンベースを持ち、マーケティング面でも価値が高い。新興チームであるキャデラックにとって、技術・経験・市場性のすべてを備えた角田は、まさに有力な候補だといえる。他の候補:周冠宇とアメリカ人ドライバーキャデラックのチーム代表であるロウドンがマネージャーを務める中国人ドライバー、周冠宇の名前も候補として挙がっている。F1での目立った成績は残せなかったものの、アジア市場での影響力を重視するキャデラックにとっては魅力的な存在だ。現在はフェラーリのリザーブとして活動しており、F1との関係を維持している。また、アメリカ企業であるキャデラックとしては、米国人ドライバーの起用も長年の目標だ。インディカーのコルトン・ハータはその筆頭候補とされてきたが、スーパーライセンス取得のためには今季ランキング4位以上が必要であり、条件を満たすかどうかは不透明だ。一方、F2で活躍中のアメリカ人ドライバー、ジャック・クロフォードは現在ランキング3位。モナコとイモラで勝利を挙げており、ライセンス条件を満たせばF1昇格も現実的となる。アストンマーティンのリザーブドライバーでもあり、将来性の高さが評価されている。リカルドは「完全引退」か一方で、長らくファンから復帰が待望されているダニエル・リカルドは、キャデラックの候補には入っていないようだ。2024年シンガポールGP後にレッドブルから契約を打ち切られた後、F1界から姿を消し、現在はパースの自宅で農場生活を送りながら、ワインやアパレル事業に注力している。昨年ニューヨークでのイベントでは、ファンに「キャデラック?」と尋ねられた際、「もう終わったよ」と返答。ESPNの情報によれば、本人はF1復帰には全く興味を示しておらず、事実上モータースポーツ界からの引退を決断したとされている。決断の時は近いF1の夏が深まるにつれ、ドライバー市場はさらに活発化する。キャデラックが誰をパートナーに選ぶのかは、単にチームの未来を左右するだけでなく、F1全体のシート争いに影響を及ぼすことは間違いない。経験豊富なベテランか、新たな才能か。あるいはアメリカの夢を託す地元ドライバーか――すべての視線がキャデラックの決断に集まっている。
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