角田裕毅とダニエル・リカルドの順位を入れ替えたF1バーレーンGPのビザ・キャッシュアップRBの戦略に疑問の声が挙がっている。レース終盤、角田裕毅は13番手を走行し、先行するケビン・マグヌッセン(ハース)を1秒以内で追っていた。その後ろにはチームメイトのダニエル・リカルドが迫っていた。
角田裕毅はハード(34周目に交換)、リカルドはソフト(35周目に交換)を履いており、角田がマグヌッセンを抜きあぐねている状況だったとはいえ、リカルドの方が0.5秒速かった。角田裕毅47 1:36.39648 1:36.55449 1:36.69550 1:36.827ダニエル・リカルド47 1:35.83148 1:36.23649 1:36.44250 1:36.60949周目にリカルドは角田裕毅の1秒以内に入り、チームは角田裕毅にマグヌッセンを抜くために2周の猶予を与えたが、抜くことができなかったため、50周目に順位を入れ替えるようチームオーダーを伝えた。だが、角田裕毅はすぐには応じず、順位を入れ替えたのは53周目。二人がトップのマックス・フェルスタッペンに周回遅れにされたタイミングだった。しかし、すでに20周がパフォーマンスの限界とされるソフトですでに18周を走行していたリカルドのタイムは上がらなかった。二人の前を走行するケビン・マグヌッセン(32周目にハードに交換)のタイムはほぼ互角。角田裕毅で無理なら、リカルドが抜くのも無理だった。このときの状況についてRBのCEOであるピーター・バイエルは「チームオーダーに関しては、話をしてた。裕毅には、『いいか、君はマグヌッセンをオーバーテイクする必要がある。そうでなければスワップする必要がある』と言っていた」と説明。「彼は2周を与えられたが、実現できなかった。だから、スワップしようと言った。我々はそれについて彼と話し合っていた」だが、仮にダニエル・リカルドが素晴らしい走りをしたとしても、11位の周冠宇(ザウバー)が精一杯だっただろう。RBのチーム代表であるローラン・メキースも「最終スティントではダニエルにソフトタイヤを履かせ、マシンをスワップしてケビン(マグヌッセン)と冠周宇をオーバーテイクするチャンスを狙ったが、最終的には及ばず、13位と14位でレースを終えることになった」と良くてもターゲットは周冠宇だったことを認めている。実際、チームオーダーを発令した50周目の時点で、11位の周冠宇は3秒前、10位のランス・ストロール(アストンマーティン)は10秒前と、終了間際にトラブルを祈らない限り、入賞は難しかった。リカルド自身も、アストンマーティンのワンストップのランス・ストロールを捕まえて貴重なポイントを獲得するのは不可能だったことを認めている。「正直に言うと、僕の側から完全に透明にすると、その判断はすでに1周遅すぎたと思う」とリカルドは付け加えた。「その後、彼(角田裕毅)の反応が遅れた。このようなソフトタイヤがあるときは、すべてのラップが重要になる。だから、すでにタイヤをおそらく2周半ほど失ったと思うし、それが違いだったのかもしれない」「10位にいる選手(ランス・ストロール)を捕まえることができた?いや、周(冠宇)を捕えるのがせいぜいだったと思う」「だから、ポイント獲得はまだ難しいものだった。しかし、僕たちは何かを試さなければならなかった」当然ながら、角田裕毅は納得していない。「ちょうどマグヌッセンを追い抜こうとしていて、メインストレートで並んでいました。最後の数周でドライバースワップがありました」と角田裕毅は語った。「正直に言うと、チームが何を考えているのか理解できませんでした。だから、彼らが何を考えていたのか理解する必要がありますが、今のところは理解できません」「正直に言うと、彼らがどのような考えを持っていたのかを検討する必要がありますが、僕にはよくわかりません」重要なのは、第1戦のスタッツとして、ダニエル・リカルドは角田裕毅に対して1勝を挙げたという結果が残ることだ。2025年のレッドブル・レーシングへの昇格を目指す二人にとって、のちのちこのスタッツが響いてくる可能性もある。だが、ダニエル・リカルドは“チームからの指示があれば”角田裕毅にポジションを返したと語っている。「もし僕たちがポイント圏内にいたとしたら…でも、明らかに最終的に僕たちは…13位だろうが14位だろうが、そんなことを気にするドライバーがいるかどうかわからないけど、僕は気にしない」「だから、もしチームがフィニッシュライン手前で彼を返せと言っていたら、僕はそうしただろう。ポイント圏内でなければ、誰が気にする?」「でも、ポイント圏内にいて、彼が9位で僕を先に行かせて、彼が10位で、僕が8位になれなかったら、また入れ替わるかもしれない。でもあの状況では、そんなことはどうでもよかったと思う」ポイントは無縁のチームオーダーでドライバー間にしこりを残してしまったビザ・キャッシュアップRB。今回の件を“政治”と見る声もある。実力が拮抗している角田裕毅とダニエル・リカルドが再び同じような場面を迎えた場合、チームが何を考えているかが明らかになるだろう。
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