マックス・フェルスタッペンのライバルたちは、かつてのように彼の攻撃的なホイール・トゥ・ホイールの戦い方を恐れなくなっていると元F1ドライバーでFIAの元スチュワードであるジョニー・ハーバートは語った。その証拠として彼が挙げたのが、F1スペインGPのセーフティカー明けの再スタートでジョージ・ラッセルがターン1でフェルスタッペンに仕掛けた動きだった。
メルセデスのラッセルが仕掛けたことで接触が生じたが、もしこの接触でレッドブルF1のマシンに損傷が出ていたり、フェルスタッペンが前に出られていなければ、ラッセルはペナルティを受けていた可能性が高いとされている。それでもハーバートはこのオーバーテイクを「実に見事」と評価した。60歳のハーバートは、これはまさにフェルスタッペン自身を彷彿とさせるような動きだとしつつも、同時に「ライバルたちが挑戦を受け入れ、フェルスタッペンに対してより頻繁に仕掛けるようになった証拠だ」と述べている。「私は全てのドライバーが限界までプッシュされる姿を見たい」とハーバートはRoobetAlternativesのインタビューで語った。「ラッセルがフェルスタッペンに仕掛けた動きは実に見事だった。あれはフェルスタッペンがやるような動きだった」「これまでフェルスタッペンは他のドライバーたちを“怯ませて”いた面があった。彼らは彼に仕掛けることを躊躇っていた。なぜなら彼は彼らを巧みに出し抜いてきたからだ」「でも今は、他のドライバーたちも挑戦を受け入れている。フェルスタッペンはより頻繁に攻められるようになった。私は、最も優れたドライバーがトップに立つ姿を見たいし、今シーズン、そして2026年にはもっとマシンが拮抗して、そういった場面がさらに増えることを期待している」「マクラーレン勢とフェルスタッペンが優勝を争うのは今後も続くだろうが、そこにラッセルやシャルル・ルクレールも加わることで、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、そしてフェルスタッペンからポイントを奪っていくようになるだろう」比較対象としての一件ラッセルのオーバーテイクは、その後のフェルスタッペンがターン5でラッセルのメルセデスに意図的に接触したとされる一連の出来事の発端でもあった。ハーバートは、今回の件と過去の類似事例を直接的に結びつけたわけではないが、F1における「ダーティーな部分」の一例とし、それらが今でも存在していると指摘した。そして、今回のような事例はF1から「排除されるべきだ」と強調している。「我々はレースにおける“汚い部分”を望んでいない」と3勝経験のあるハーバートは述べた。「私は1994年のミハエル・シューマッハとデイモン・ヒルの件を思い出す。あれでヒルはチャンピオンを奪われた」「フェアじゃなかった。彼は1994年のチャンピオンになるべきだった。だが、シューマッハはミスで壁に当たってサスペンションを壊した状態で走り続け、そのままヒルにぶつかって両者をリタイアさせた。結果としてシューマッハはタイトルを獲ったが、あれは純粋な勝利の形ではなかった」「それは“より優れたドライバー”ではない。ルールを超えて自分が上に立とうとしているだけだ。だからこそ、そうした状況はすぐに排除されなければならない」ちなみにハーバートは、1994年シーズンの終盤2戦において、シューマッハのチームメイトとしてベネトン入りしており、それはヨス・フェルスタッペン(マックスの父)に代わっての起用だった。そして彼は1995年もそのシートを維持した。
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