TOYOTA GAZOO Racingは、8月17日(木)から20日(日)にかけて開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦ラリー・ドイチェランドに、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)、ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(#11号車)、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(#12号車)の、3台のヤリスWRCで参戦する。第4戦ラリー・フランス(ツール・ド・コルス)以来となるターマック(舗装路)ラリーで、チームはヤリスWRCのターマックでのさらなる性能向上を目標に戦う。
前戦ラリー・フィンランドで、ラッピ/フェルム組の活躍によりシーズン2度目の優勝を果たしたチームは、夏の終わりを迎えるドイツで新たなる戦いに挑む。ラリー・ドイチェランドは、非常に特殊なターマックラリーといわれており、コースのキャラクターは大きく3つに分かれる。ワインの名産地として知られるモーゼル河畔のステージは、ブドウ畑の中の、狭く曲がりくねった道が特徴である。ラリーカーがコーナーのイン側に深く切り込んで走行したり雨が降ったりすると、路肩の泥が舗装路に流れ込み、とても滑りやすくなる。また、軍事演習場であるバウムホールダーが舞台となる「パンツァープラッテ」をはじめとするステージは、コンクリートのような特殊な舗装路が多く、雨が降るとタイヤのグリップ力が大幅に低下する。パンツァープラッテでは道のすぐ脇に大きな石が置かれ、コースアウトしたクルマがそれに当たると大きなダメージを負う。さらに、ごく一般的な峠道のようなステージも多く、選手たちは様々なターマックコースと対峙する。夏の終わりは天候が変わりやすく、コースコンディションに合ったクルマのセットアップと、タイヤ選びがラリー・ドイチェランドではとても重要になる。ラリー・ドイチェランドは、しばらくドイツ西部のトリアーを中心に行われていた。しかし、今年は以前サービスパークが置かれていたボスタルジー(ボスタル湖)がラリーの中心となり、湖畔にサービスパークが展開される。トリアーとボスタルジーはそれほど距離が離れていないため、ステージの多くは去年までと変わっていない。競技は8月17日(木)に、ザールブリュッケンのスーパーSSでスタート。 18日(金)はブドウ畑の中のステージが主戦場となり、19日(土)は軍事演習場内でのSSをハイライトに、今大会最長の41.97kmのパンツァープラッテ(SS10/SS15)を含む9本のSSで競われる。競技最終日の20日(日)は4本のSSで構成され、最終ステージのSS21は、ボーナスの選手権ポイントがかかるパワーステージに指定されている。ラリーは4日間で21本のSSを走行し、その合計距離は309.17km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1165.25kmとなる。トミ・マキネン(チーム代表)ラリー・モンテカルロはターマックといっても雪道も多く走るラリーなので、純粋なターマックラリーは今シーズン2回目となります。ラリー・フランス以降に施した改善の数々が、フランスとはまた異なるドイツの道でどのように機能するのか、興味深いところです。先週行なったプレイベントテストでは、ダンパーなどいくつか新しいパーツを試すなど、ターマックに関する開発は現在も続いています。ドイツはとにかくコースが特殊で難しく、早い出走順の選手のほうが良い路面コンディションで走ることができるため、有利になります。ラリー・フィンランドでの良い結果を受けて、選手たちはクルマに対しとてもポジティブなフィーリングを持っており、良い雰囲気です。ヤリスWRCはドイツの道との相性も良いと思いますので、とても楽しみです。ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC #10号車)例年通り、ラリー・ドイチェランドでは雨が降る可能性が高いため、プレイベントテストで雨の走りを経験できたのは良かったです。ヤリスWRCのターマック仕様は、ラリー・フランスを戦った時とほぼ同じです。しかし、ドイツのコースはコルシカ島よりもコーナーが少なく、ジャンクションに進入する際は高い速度域からハードなブレーキングを行ないます。ブレーキングはタイムに大きな影響を及ぼすので、テストでは主にブレーキングの改善に努めました。また、サスペンションについても改善を進め、ラリー・フランスの時よりも少し柔らかめのセッティングで走ることになるでしょう。ラリー・ドイチェランドは今季もっとも難しいラリーのひとつで、ライバルも非常に手強いため、5位以内に入ることができれば満足です。そして、もし表彰台に上がることができたならば、それは本当に素晴らしい結果だといえます。ユホ・ハンニネン (ヤリスWRC #11号車)ラリー・フィンランド以降、とても良い調子を保てています。ラリー・ドイチェランドに出るのは久しぶりですが、今年序盤のラリー・モンテカルロやラリー・フランスなど、ターマックラリーでは速さを示すことができたので、今回も競争力を持って戦えると思っています。ドイツは天気が変わりやすく、雨が降るとデイ2のブドウ畑内のコースは道に泥が流れ出しとても滑りやすくなります。デイ2をやや遅目の出走順で走る私にとっては、チャレンジとなるでしょう。しかし、ユニークなバウムホールダーのステージなど、ラリー・ドイチェランドはとても面白いラリーなので楽しみです。エサペッカ・ラッピ (ヤリスWRC #12号車)フィンランドでは優勝することができましたが、ドイツに対するアプローチは何も変わりません。自分にとってフィンランドはもっとも馴染み深く自信のあるラリーでしたが、ドイツはある意味真逆です。さらにWRカーでターマックラリーに出るのも今回が初めてです。ですが、ヤリスWRCはレーシングカーのようなフィーリングがあり、グラベル(未舗装路)よりターマックの方が走りやすいかもしれません。エアロダイナミクスを含めたクルマのポテンシャルは非常に高く、エンジンのパワーがタイヤのグリップ力を上まわっているため、タイヤの性能を保ち続けるためには、とにかくクリーンで丁寧な運転が求められます。問題なく最後までこのラリーを走り切り、5位以内でフィニッシュしてポイントを獲得することが、今回の私の目標です。
全文を読む