3月10日(金)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコの競技2日目デイ2が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(ヤリスWRC #11号車)が4位につけた。また、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)は前日と順位は変わらず、8位でデイ2を走りきった。
9日(木)の夜にメキシコシティのストリートステージで開幕したラリー・メキシコは、サービスパークがあるレオンの近郊で10日の午前中に競技が行われる予定だった。しかし、ラリーカーをメキシコシティからレオンへと運搬するトランスポーターが、予期されていなかった道路閉鎖に伴う交通渋滞により10日朝までにレオンのサービスパークに到着しなかったため、大会主催者はデイ2午前中のSS2とSS3をキャンセルすることを決断。そのため、デイ2の競技はSS2の再走ステージとして設定されていたSS4から始まることとなり、午後4時14分に競技がスタートした。SS4をスタート後しばらくすると、両ドライバーはエンジン温度の上昇に気がつき、温度を下げるため、通常はリエゾン区間で使用する出力を絞ったロードセクション・モードに切り替えながら走行。そのためタイムをロスしたが、それでも5本のSSを走りきりサービスパークへと帰還した。チームは温度上昇の原因究明と対策に全力で取り組み、早期の問題解決を目指す。シーズン最初のグラベルイベントであるラリー・メキシコは、SSの出走順がタイムに大きな影響を及ぼす。ドライコンディションのグラベルロードは、道の表面に滑りやすい小さな砂利やダストがたまっているため非常に滑りやすい。しかし、何台か競技車両が走行すると路面はクリーンになりタイヤのグリップ力が高まる。つまり、ドライのグラベルコースでは、出走順がはやい選手がどうしても不利になるのだ。ラリー・メキシコでは、最初のグラベルステージとなるデイ2の出走順はここまでのドライバーズ選手権のランキング順となり、選手権トップのラトバラはもっとも不利な先頭走者を担った。そのため、タイムロスを避けることは不可能に近かった。 明日のデイ3は、サービスパークが置かれるレオンの北〜東にかけてのエリアで9本のSSが予定されている。まず午前中に3本のグラベルステージを走行し、選手は1度レオンのサービスパークに戻り30分間のサービスを受ける。その後、午前中に走行した3本のSSを再走した後に、レオンのミニサーキットで2本のスーパーSSを戦う。そして、1日の最後にはサービスパークすぐ横のストリートステージを走行する。全9本のSSの合計距離は157.57km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は347.54kmとなる。トミ・マキネン(チーム代表) 高い気温、そして高い標高という、ふたつの難題が重なるラリー・メキシコは、我々にとって大きな挑戦になるだろうと思っていました。今日、2台のクルマに起こった問題に関しては、幸運にも解決の糸口が見つかったと信じています。そして、困難な1日だったにも関わらず、2台のクルマがSSを走りきりサービスパークに戻って来たという事が何よりも重要です。ユホは4位と表彰台が見える位置につけ、ヤリ-マティも難しい状況で良い仕事をしました。明日も彼らの頑張りに期待したいと思います。 ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC#10号車) デイ2は、タフな1日になるだろうとあらかじめ覚悟していましたが、こんなにタフになるとは!というのが正直な感想です。走行距離が長いエル・ショコラテ(SS4)では、どうしてもエンジンの温度が上昇しやすいのですが、今日も走行中に温度が上がってしまったため、ロードセクション・モードに切り替えて温度が下がるのを待ち、その後ステージ・モードに戻すという操作を繰り返しました。また、他の距離が短いSSでも多少温度が上がる傾向が見られました。このようにいくつか問題は起こりましたが、大切なのは1日を走りきりサービスパークに戻ってきたということです。明日が、今日よりも良い1日となることを期待しています。 ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC#11号車) 今日のデイ2はとても大変な1日となり、出走順のアドバンテージをうまく結果に結びつけることができませんでした。出走順が後方だったので良いコンディションの道を走れたはずなのですが、それでも路面があまりにも滑りやすかったことにショックを受けました。もしかしたら選んだタイヤが今日の路面に対しては硬すぎたのかもしれません。また、ヤリ-マティと同じように、私のクルマのエンジンも温度が上がってしまいました。でも、エンジニアとメカニックが一丸となって、明日までに問題を解決してくれると信じています。