7月14日(日)、ブラジル・サンパウロのインテルラゴス・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦サンパウロ6時間レースが行われ、2番手からスタートした8号車が今季初勝利。ポールポジションからスタートを切った7号車はトラブルに見舞われ、一時最後尾近くまで後退するも、見事な追い上げを見せ4位でチェッカー。2台揃っての上位入賞でマニュファクチャラーズチャンピオン争いでも前進した。
2012年にトヨタがハイブリッドのレースカーによる初優勝を飾ったこの地で、ディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は、7万3千人ものブラジルのファンの皆様の歓声を背に、今季初勝利のチェッカーを受けた。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は、ポールポジションスタートから勝利を目指し序盤戦は首位を守ったが、技術的なトラブルによる長いピット作業で順位を落とすこととなった。しかし、レース後半に素晴らしい追い上げを見せて4位でフィニッシュ。貴重な12ポイントを獲得した。完璧なドライビング、的確なタイヤ戦略とチームワークで、TGRは今季2勝目を手にし、厳しい戦いの中で可能な限り最大のポイントを獲得。マニュファクチャラーズチャンピオン争いで、首位のポルシェに4ポイント差まで迫り、残り3戦での逆転を目指すことになる。この週末では最も暖かい気候の下、TGRの2台のGR010 HYBRIDは、昨年11月のバーレーン戦以来となるグリッド最前列独占スタートから、序盤戦をリードした。ポールポジションからスタートした7号車のコンウェイは、クリーンなスタートを決めると、バトルを展開する後続との差を広げていった。2番手グリッドの8号車ハートレーは、スタート直後の1コーナーでコースオフを喫するも、2位のポジションを守り、後続勢の追撃を抑える役割となった。タイヤの摩耗が激しいインテルラゴスの路面で、路面温度も上昇する難コンディションでもコンウェイはミディアムタイヤを温存しながら、狭く追い抜きの難しいコースで周回遅れをかわして着実な周回を重ねていった。スタートから1時間を経過した時点で、7号車は2位の8号車に11秒差をつけ、8号車のハートレーは後続のポルシェ5号車を抑えて2位のポジションを守り続けた。最初の90分間、首位の7号車は余裕を持ってレースをコントロールしていたが、フルコースイエロー時の速度違反でドライブスルーペナルティを科され、アドバンテージは帳消しとなってしまった。さらに、2時間を過ぎたところでトラブルに見舞われ、燃料系に関するコントロールユニットの修復のために長いピット作業を余儀なくされた。7号車はデ・フリースへと交代し、18番手とほぼ最後尾まで順位を落としてコースに復帰することとなった。この7号車のトラブルにより、チームの勝利への挑戦権は8号車へと託された。平川へとドライバーチェンジしたばかりの8号車はすぐに首位に浮上すると、レース折り返しの時点で2位以下との差を30秒まで拡大。平川は次のピットでタイヤを右側のみ新品に交換し、タイヤ温度と摩耗をコントロールする戦略をとった。インテルラゴスで初レースながら素晴らしいペースでの走行を見せた8号車の平川は、2位との差を40秒以上に広げ、最後の2時間を担当するブエミへと交代した。7号車もデ・フリースの健闘により順位を取り戻し、小林へと最後の2スティントを託した。ブエミは安定したペースで周回を重ねて首位を堅守。2位以下に大きく差を広げたまま残り1時間で最後のピットストップを終えると、2位のポルシェ6号車に1分8秒差をつけてトップでチェッカーを受けた。7号車は小林が猛烈な追い上げを見せ、フェラーリ51号車に猛追。チェッカーまで残り5分というところで息を飲むようなオーバーテイクを見せ、4位へ浮上しチェッカーを受けた。南米大陸での実り多いレースを終えたTGRは、チャンピオン防衛を目指し、次戦の舞台となる米国テキサス州オースティンへ向かう。サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われる第6戦ローンスター・ル・マンは、9月1日(日)に決勝レースが行われる。豊田章男(TOYOTA GAZOO Racingチームオーナー)セブ、ブレンドン、亮、そして8号車のみんな、優勝おめでとう!ル・マンの悔しさをみんながモチベーションに変えて臨んでくれたレース。WECチームだけでなくTOYOTA GAZOO Racingみんなが抱いた悔しさをしっかり晴らしてくれました。ありがとう!7号車のみんなは、まだ悔しさから抜け出せていないかもしれません。しかし17位まで沈みながらも4位までポジションをあげてくれた走りは最高でした。特に最後の可夢偉のオーバーテイクは本当に素晴らしかった!ドライバーとしての意地、プリンシパルとしての責任感、エンターテイナーとしての底知れぬ才能、そして波乱ばかりを引き寄せる数奇な運命!そんな可夢偉と7号車を本当に、かわいく思っています。少し自分と似てるところがあるからかな…。実は、今回のブラジルの結果を、モリゾウはいつも以上にうれしく思っています。そこには、ル・マンの雪辱だけでなく、他にもいくつかの理由があるからです。ひとつはマイクの復帰。ル・マンの欠場は本当に残念だったけど、無事に戻ってきてくれて本当にうれしかった。まだ完治じゃないそうですが、しっかり治して次のレースもよろしく頼みます。一方、マイク復帰によってホセが7号車で地元南米を走れなかったのは少し残念でした。10年ぶりの南米でのレース、ホセ自身も本当に走りたかったのだろうと思います。そんな中でもホセはわざわざTOYOTA GAZOO Racingに顔を出してくれました。そして地元ブラジルの応援団を盛り上げてくれました。底抜けに明るいホセがファミリーでいてくれることのありがたさを改めて実感しています。そして、8号車のエンジニアとしてドライバーと共に表彰台に立ってくれたライアン。初の表彰台おめでとう!彼は、ル・マンの後、休みも取らずに来日し、スーパーフォーミュラのエンジニアもしてくれていました。彼の存在がWECチームと私の距離をさらに近づけてくれています。日本との行き来は大変だと思いますが、これからもよろしく頼みます。最後に、ブラジルの大応援団。10年ぶりのブラジル開催にトヨタの仲間たちがサーキットに大集結してくれました。南米は距離もあって私自身なかなか行くことができません。それなのに南米の仲間たちの温かさを感じることがよくあります。AkioでなくMorizoと呼んでくれる仲間たちです。今回、この仲間たち...
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