FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦ポルティマオ6時間の決勝レースが4月16日(日)にポルトガルのアルガルヴェ・サーキットで行われ、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ)のGR010 HYBRID 8号車が勝利を挙げた。昨年の世界チャンピオンであり、ル・マン勝者でもあるセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車が、レースの大半をリードする完璧な戦いぶりで制し、2位のフェラーリ50号車、3位のポルシェ6号車を周回遅れにする速さで今季初勝利を飾った。
もう一台のGR010 HYBRID、小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの7号車は、対照的に残念な結果となってしまった。1か月前のシーズン開幕戦セブリングで勝利を挙げた7号車だったが、レース序盤、主催者からの指示によりセンサーの交換を余儀なくされ、11分間のタイムロスを喫し9位でレースを終えた。トヨタにとっては昨年からハイパーカーでの4連勝と記録を伸ばすこととなり、全7戦で争われている今季WECで、マニュファクチャラー選手権では2位のフェラーリに18点差をつけてリードしている。ブエミ、ハートレー、平川の3名はドライバーズ選手権で2位のフェラーリ50号車に対し11ポイント差で首位に立ち、小林、コンウェイ、ロペスの3名はランキング3位となっている。この週末一番の暖かさとなったポルトガルだったが、サーキットではそれ以上に熱い戦いが繰り広げられた。正午にスタートした直後の1コーナー進入では、ポールポジションの8号車ブエミと最前列2番手で並んだ7号車コンウェイが首位を争う中に、フェラーリ51号車が割って入る激しいバトルに。これで3位へとポジションを落としたブエミだったが、4周目に果敢なアタックで抜き返し、2位へと復帰した。その時点で首位7号車と2位8号車の差は5秒ほどありましたが、まもなく周回遅れが現れ始めると、ブエミがその差を縮めていった。2台のGR010 HYBRIDは、最初の給油ピットストップへと向かう直前の33周目に順位を入れ替え、その後は8号車がレースをリードした。レースはスタートから1時間20分ほどが経過したところで大きく動いた。2位を走行する7号車に、リアのドライブシャフトセンサーを交換するための予定外のピットイン指示が出された。ハイパーカーはレギュレーションで、ドライブシャフトに取り付けられたトルクセンサーで性能を監視できるようにする必要があり、これは常に正常動作していることが義務づけられている。チームは7号車をガレージへと入れると、7号車、8号車双方のメカニックが加わって車両左後部の部品を迅速に交換。僅か11分間のタイムロスでコースへと復帰させた。しかし、ロペスへと交代した7号車は、この時点で最後尾に近い総合34位、7周遅れとなっていたが、ポイント獲得圏内への復帰を目指し、追い上げを開始した。一方、スタートから2時間を迎えようとするところで、首位を行く8号車は2位のフェラーリ50号車に30秒ほどの差をつけてブエミから平川へとドライバー交代を行った。8号車の平川はレースが折り返しとなる3時間経過時までに2位以降との差をさらに広げ、7号車のロペスは22位まで順位を上げた。そして、レースの3分の2が経過し、残り2時間となったところで、8号車は首位のままハートレーへ。7号車は小林がステアリングを受け継ぎ、さらに追い上げを続けた。ハートレーは快調なペースで走行を続け、自身最初のスティント終盤には、2位のフェラーリ50号車を周回遅れにすることで、セーフティカーが出た場合でも心配の無いだけの差を築き上げることに成功した。その数分後に、ヴァンウォールがクラッシュし、セーフティカーが導入された。12分間のセーフティカー走行の後にレースが再開されると、ハートレーはすぐに最後の給油ピットストップへ向かい、トップを維持したままコースへと復帰。その後の終盤戦も着実に走り抜いて222周でトップチェッカーを受け、WEC78戦目のチームに41勝目をもたらした。序盤、このレースでの最速タイムをマークしたコンウェイが7号車の最後のドライバーを担当し、トップ10圏内まで順位を取り戻し、チェッカーを受けた。WECシーズン第3戦は、わずか2週間後の4月29日(土)、ベルギーでスパ・フランコルシャン6時間レースが行われる。このレースは、6月10日(土)から11日(日)にかけて行われる記念すべきル・マン24時間レース100周年記念大会へ向けた、最後の実戦となる。小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー): チーム全体として、8号車の優勝は喜ばしいことです。彼らは本当に素晴らしい働きぶりで、全くミス無く、勝利に値する走りでした。彼らに祝福を贈ります。一方、7号車はピットガレージで11分間費やすことになり、上位フィニッシュのチャンスは失われてしまいました。11分というわずかな時間で素晴らしい作業を終えてくれた2台の車両のメカニックには感謝していますし、チームの頑張りを本当に誇らしく思います。クルマの感触はレースを通して良かっただけに、運が無かったとしか言いようがありません。それだけに、次戦へ向けた準備のために更なるハードワークが必要です。次戦スパまでは僅かな期間しかありませんが、ル・マンへ向けた準備のためにも我々全員にとって重要なレースです。ライバルとの差がさらに縮まってきていることは明確であり、我々に降りかかった今日の事象は忘れて、さらに強くなって戻ってくるべく集中していきます。マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー): 我々7号車はトラブルに見舞われ勝負権を失い、残念ながら厳しい一日になってしまいました。レースには復帰でき、少なくともポイントを獲得することはできましたが、残念な結果です。8号車のメンバー全員を祝福します。彼らは勝利にふさわしい、素晴らしい戦いぶりでしたし、チームにとっても良い結果です。ピットガレージの片方では良い結果、もう片方は無念な結果となりましたが、次戦スパでは再び上位を争うつもりですし、そして、すぐにル・マンもやってきます。ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー): 7号車はとても好調で、セブリングでの1-2フィニッシュを再現できればチームにとっても良かったのですが、残念ながらトラブルに見舞われてしまいました。本当にアンラッキーなアクシデントで、我々は勝負権を失ってしまいました。しかし、我々は諦めることなくレースを続行し、少ないながらもポイントを獲得しました。シーズン終盤にはこのポイントがタイトル争いに影響を与えるかも知れません。チームにとっては良い結果でしたし、素晴らしいレースを戦った8号車を祝福します。セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)...
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