2025年シーズンは、長年待ち望まれていた初表彰台、ルーキーのスーパースター誕生、数え切れないほどの息詰まる瞬間、そしてランド・ノリスが名だたるチャンピオンの仲間入りを果たした予測不能な三つ巴のタイトル争いなど、まさに歴史に残る一年となった。タイトル争いを繰り広げた3人はいずれもキャリア最高レベルのパフォーマンスを披露したが、全24戦を通して最も審査員の印象に残ったのは誰だったのか。最終パワーランキングのリーダーボードを以下でチェックしてほしい。
仕組み2025年シーズンを通して、5人の審査員パネルが各グランプリ終了後に全ドライバーを評価し、週末全体のパフォーマンスを基準に10点満点で採点した。マシン性能の影響は考慮されていない。専門家によるスコアは平均化されて各レースのスコアとなり、それをシーズンを通して合算したものが、ページ下部に掲載されている総合パワーランキング・リーダーボードとなる。5連覇となる世界タイトルこそ逃したものの、マックス・フェルスタッペンはシーズンを通した平均スコアで、審査員から最も高い評価を受けた。終盤戦で見せた圧巻の巻き返しが強い印象を残した形だ。アメリカGPでは、スプリントポール、スプリント優勝、決勝ポール、決勝優勝という完全制覇を達成し、満点の10点を獲得。扱いづらさを抱えていたレッドブルのマシン特性を、いかに手懐けられるようになったかを示した。さらに、チームが数多くのトラブルに見舞われたにもかかわらず、ポールポジション数と勝利数はいずれも全ドライバー最多を記録。こうした要素が積み重なり、フェルスタッペンはライバルたちを抑えてトップに立った。2024年の初タイトル挑戦を糧に、ノリスは多くの教訓をこのシーズンに持ち込み、ミスから素早く学ぶ姿勢を見せた。計り知れないプレッシャーの中でも冷静さを保ち、フェルスタッペンとチームメイトのオスカー・ピアストリを下して、自身初の世界タイトルを獲得した。序盤にオーストラリア人ドライバーがランキング首位を固めた際には、自身が一時的に自信を失ったことを率直に認めている。しかし、オーストリアとメキシコでの圧巻の走り、そしてアブダビでの落ち着いたパフォーマンスが高評価につながった。シーズン最初の3分の2で見せた素晴らしい好調ぶりにより、ピアストリはノリスに僅差で3位となった。中国GPからスペインGPまで8戦連続で表彰台に上がるという印象的な連続記録は、F1参戦3年目にしてタイトル争いの本命であることを示した。しかし、その後は6戦連続でトップ3を逃すフラストレーションの溜まる時期を経験する。それでもカタールGPでは力強い走りで巻き返し、数学的にはタイトル争いに踏みとどまったものの、チャンピオンになる可能性はわずかなものにとどまった。フェラーリにとっては決して容易な一年ではなかった。チームは4月という早い段階で2026年に焦点を移す決断を下し、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンはエアロダイナミクスのアップデートなしで戦うことを余儀なくされた。それでもモナコ出身のドライバーは輝きを放つ場面を見つけ、7回の表彰台と1回のポールポジションを獲得。アブダビGPではノリスと3位を争うなど、前向きな形でシーズンを締めくくった。フェラーリ全体のパフォーマンスについて「非常に失望している」と認めつつも、フラストレーションの多い状況で最大限の結果を引き出し続けた点が評価され、2025年パワーランキングで4位となった。ジョージ・ラッセルは、ハミルトン離脱後のメルセデスにおいて、紛れもなくチームのリーダーとしての地位を確立した。カナダとシンガポールで2勝を挙げ、三強以外で複数勝利を記録した唯一のドライバーとなった。W16のパフォーマンスは安定しない部分もあったが、適正なウインドウに入った際には、ラッセルは常にそのチャンスを最大限に活かしてきた。自身が本格的にタイトル争いに加わる日はまだ先かもしれないが、2勝に加えて7回の表彰台を積み上げ、常にトップ集団で戦う準備が整っていることを示した。レーシングブルズのルーキー、アイザック・ハジャーはランキングトップ10入りこそ逃したものの、F1初年度で強烈な印象を残した。経験豊富なニコ・ヒュルケンベルグと同点でシーズンを終え、Q3進出を重ね、オランダGPでは4位スタートから見事な表彰台を獲得。これはチームにとって2021年以来の表彰台となった。ハジャーの強い一年を最も端的に示すのが、来季レッドブルへの昇格だろう。4度の世界チャンピオンであるフェルスタッペンと並んで走ることになる。表彰台を2度獲得したのはチームメイトのカルロス・サインツJr.だったが、シーズン序盤に見せたアレクサンダー・アルボンの安定感は、ウィリアムズがコンストラクターズランキング5位を獲得する上で大きな役割を果たした。これは2017年以来の最高成績である。4シーズンにわたってチームに在籍する中で、今季も頻繁にポイントを持ち帰る重要な存在となり、オーストラリア、マイアミ、イモラ、オランダでの複数回の5位フィニッシュがハイライトとなった。アストンマーティンは、フェルナンド・アロンソによって複数の表彰台を獲得した2023年のフォームをまだ取り戻せていないが、元世界王者は今季も再び存在感を示した。オーストラリアでのクラッシュ、中国でのブレーキトラブル、モナコでのエンジントラブルにより3戦連続リタイアという厳しい序盤を経たが、その後は合計10回の入賞を記録し、ハンガリーGPでは自己最高位となる5位を獲得した。チームが2026年レギュレーションに注力していることは周知の事実だが、それでもアロンソはチャンスがあれば常に力強い結果を残してきた。2025年のルーキー世代は鮮烈なデビューを飾ったが、ハースのオリバー・ベアマンもその例外ではなかった。第2戦で早くも初ポイントを獲得し、バーレーンでは20番手スタートから10位、オランダGPではピットレーンスタートから6位へと駆け上がるなど、追い上げのレースを何度も披露した。ペナルティポイントを重ねる原因となった複数のインシデントに悩まされた一方で、メキシコGPでは4位入賞という歴史的な結果を残し、2016年のF1参戦以来、ハースにとって最高タイのフィニッシュを記録した。キック・ザウバーは、2026年のアウディ参入を見据え、ベテランドライバーとルーキーの組み合わせという堅実なラインアップを2025年に採用した。この判断は正解で、ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトは、チームの獲得ポイントを昨季から64点も上積みした。ドイツ人ドライバーは開幕戦オーストラリアで7位入賞を果たし、2024年シーズン全体でのザウバ...