ルノーは、F1撤退を含めて今後の事業を戦略的に見直していく方針であることを明らかにした。ルノーは、収益の落ち込みを回避し、昨年のルノー・日産アライアンスの会長を務めたカルロス・ゴーンの逮捕による混乱からの脱却を目指して、事業のあらゆる側面を見直していく。
ルノーは、第3四半期のグループ収益が1.6%減少し、113億ユーロになったと発表。これは、ロードカー市場のダイナミックな変化、特にディーゼルエンジンからの転換を背景にしている。金曜日の投資家との会議で、ルノーの暫定CEOを務めるクロチルド・デルボスは、特にF1プログラムだけを対象としているわけではないとしつつも、グランプリ活動は戦略的な見直しに該当することを明らかにした。今回の長期的な戦略の鍵となるのは、2017年にカルロス・ゴーンが掲げた“Drive the Future”戦略の分析であり、ルノーがもはやニーズに合わないと感じた場合には変更される可能性がある。F1やアルピーヌといった重要とはみなされない事業を停止することを検討する可能性があるかと質問されたクロチルド・デルボスは「あなたが言及したその2つの活動を明確にターゲットにしているわけではありませんが、“Drive the Future”計画を見直すということは、当然ながら、すべてをテーブルに置くことを意味します」とコメント。「通常のプロセスのようなものです。単なるマイナーレビューではありません。市場の新しいコンテキスト、使用状況の変化、モビリティなど、グループの現状を考慮に入れて“Drive the Future”計画の詳細なレビューを開始しています」「ある時点ですべてがテーブルに載る可能性があります。これは、当社の戦略と計画の詳細なレビューです」カルロス・ゴーンは、2016年にルノーがワークチームとしてF1に復帰することをコミットし、グランプリレースの最前線に戻るための長期計画における原動力だった。昨年、ルノーはコンストラクターズチャンピオンシップで4位を獲得したが、今シーズンは苦戦を強いられている。ポイント獲得の可能性を妨げる信頼性の問題だけでなく、最近では、違法なドライバーエイドを備えていたとしてF1日本GPから失格となっている。また、2021年から予算上限が導入される予定だが、ルノーは、メルセデス、フェラーリ、レッドブルに対抗するために、財政的なコミットメントを増やす必要がある。ルノーがF1活動を継続すると思うかと質問されたF1チーム代表のシリル・アビテブールは「プロセスが終わるまではなんとも言えない。プロセスに従わなければならない」とコメント。「申し訳ないがこれ以上のコメントできていない。プロセスに従うしかない。ただ、楽観的でいようとも思っている。契約のすべてが現状よりも良くなれば、ルノーがF1に復帰した2015年と異なる立場をとる理由はない」 「確かに、市場は変化しているし、F1での結果は御覧の通りだ。最も重要なのはその期間において我々がリーズナブルなコストでそれなりの結果を残す自信を持ってプロジェクトに取り組めるかどうかだ。私の意見では、2021年に得られるであろう基準に関して、それらの質問に前向きな答えをもたらせる適切な方向に進んでいるとは思っている」ルノーは、F1活動をマーケティングのためのプラットフォームとして重要視しているが、勝利を争うレベルにはおらず、信頼性問題の多発やF1日本GPでの失格とったものはブレンドイメージにも悪影響を与える。だが、シリル・アビテブールは、F1日本GPの失格処分が役員会の決定に影響を及ぼすことはないはずだと語る。「助けにはならないが、9ポイントのためにルノーが決断を下すとは考えにくい。鈴鹿でのレーシング・ポイントとルノーのちょっとした小競り合いがF1におけるルノーの長期的な戦略に影響することはないだろう」とシリル・アビテブールはコメント。「我々はこの世界に42年もいる。ブランドのマーケティングやテクノロジーにおいて、何かしらのものをもたらしていると本気で思っている」 「唯一、このストーリーが物語っているのは、F1において革新的なソリューションが以前にも増して開発しにくくなっており、それを使うことも難しくなっていることだ。それがポイントであり、技術的な側面から何も得られないとなれば、再考することになるだろう」 「以前にも言ったように、そういった条項はサインするかどうかを決める際に評価することになる。だが、いずれにせよ、条件は今より良いものになるはずなので、自信は持っている」