32年間にわたりF1の世界で活動してきたカナダ人のジノ・ロサートは、多くのチームが築かれては崩れていく姿を見てきた。彼にとって、現在レッドブル・レーシングで進行している人材流出は決して驚くことではない。レッドブルはF1で浮き沈みを経験しながらも、2009年以来一貫してトップチームの一角を占めてきた。しかし、主要メンバーの離脱によってチームは中団へと崩れ落ちつつある。オーストリアのチームがさらに後退すれば、多くの人々にとっては大きな違和感となるだろう。
だが、ロサートはミルトンキーンズのチームで起こっている出来事にそれほど驚いてはいない。ロサートによれば、主要人物たちの離脱は自然な流れだったという。長年にわたって同チームに在籍していたからだ。「ジョナサン(ウィートリー)がチーム代表になるべき時だった。レッドブルにとっては大きな損失だ。彼とモントリオールで話した時に世界タイトルのことが話題になった。僕は14回獲得していて、それを誇りに思っている。彼は20回くらい取っているんだ。とんでもない数だ」とカナダ人はPitstopポッドキャストで語った。「それからエイドリアン・ニューウェイもいる。彼の代わりに話すことはしないが、あの種の極端に政治的な環境は彼には合わないと思う。それが彼の問題のひとつだった可能性はある」「そしてもちろんクリスチャン(ホーナー)もいる。何があったのかは全く分からないし、僕の知ったことでもない。ただ、もし彼を辞めさせる決断がなされたのなら、どう言えばいい? 彼は素晴らしい仕事をしてきた。でもチームのダイナミクスは時に変化する。フェラーリでも同じようなことがあった」ジノ・ロサート(左)とエイドリアン・ニューウェイ(右)が会話する姿さらにロサートは、すべての「帝国」はいずれ崩壊するものだと強調した。「フェラーリでもそうだったし、今はレッドブルでそれが起きている。ロン・デニスももうずいぶん前にいなくなったし、フラビオ・ブリアトーレも同じだ。こうした大物たちは遅かれ早かれ、みんな去っていくものなんだ」