レッドブル・レーシングは、F1カナダGPでメルセデスのジョージ・ラッセルがマックス・フェルスタッペンに「ゲームを仕掛ける」可能性があると予想していたことを認めた。フェルスタッペンとラッセルは、2週間前のスペインGPでの物議を醸した接触のあと、カナダで再びフロントロウに並んでスタート。フェルスタッペンはこの時、レーシングライセンスにおける出場停止寸前のポイント数に達していた。
ラッセルは、ターン1で「普段よりも肘を張っていく」つもりだと示唆していた。「僕の方が、まだライセンスに余裕があるからね」と、メルセデスのラッセルは語っていた。ターン1では両者に接触などはなかったが、後のセーフティカー中に一悶着があった。ある時点で、セーフティカーの後方でフェルスタッペンがラッセルの前に出る場面があり、両者ともに相手がルール違反をしたと非難した。レース後、2人は一緒にスチュワードルームへ向かい、FIAはレッドブルによるラッセルのセーフティカー中の挙動に対する正式抗議を審議した。ロシアのF1コメンテーター、アレクセイ・ポポフは、レッドブルの抗議には正当性があったと述べている。「ラッセルが予選後に『マックスをちょっと陥れたい』という意図を見せていたのは事実だ」とポポフは述べた。「セーフティカーの後ろで急ブレーキをかけた場面を見れば明らかだ」スチュワードはフェルスタッペンとラッセルを約1時間にわたって事情聴取し、その影響で正式なレース結果が確定したのはチェッカーフラッグから5時間後となった。独紙『Bild』は「このような長時間の遅延は今後改善されるべきだ」と批判している。一方、レッドブルF1代表のクリスチャン・ホーナーは、今回の抗議について「ラッセルのセーフティカー中の行動を明確にするためだった」と説明した。「ジョージが土曜にメディアに語っていたことを聞けば分かるように、彼の目的はかなり明確だった」とホーナーは述べた。「何らかの駆け引きが行われることは避けられなかったと思う」ホーナーはさらに、レース前のドライバーズブリーフィング終了後に、ラッセルによる反フェルスタッペン的な動きの可能性についてレースディレクターに事前に注意を促していたことも明かした。「こうしたことが起こり得ると分かっていたので、我々は『メディアで発言があったので注意して見てほしい』と伝えた」と語っている。フェルスタッペン自身が抗議を促したのかと問われたホーナーは、「全く違う」と否定した。なお、レッドブルの抗議は最終的に棄却された。