角田裕毅にとって、2025年F1モナコGPは試練の一戦となった。今季ここまで複数戦でポイントを獲得し、レッドブル・レーシング昇格後も安定した速さを見せてきた角田だったが、伝統の市街地戦では「戦略勝負」によって不完全燃焼のレースに終わった。角田は予選12番手からスタート。チームは彼に大胆な戦略を託し、1周目でのピットインという“逆張り策”を敢行。ソフトタイヤでスタートし、他車と異なるアンダーカット狙いでポジションアップを図る構えだった。
しかし、ライバルチームが極端なスローペース戦略に出たことで、その目論見は完全に崩れ去った。レースを通して車列の中に閉じ込められ、オーバーテイクのチャンスはゼロ。ようやくクリアラップを得た終盤にはファステストラップ級のペースを示したが、すでに時遅し。最終順位は17位に終わり、チームメイトのマックス・フェルスタッペンとは対照的な結果となった。ホーナー「角田の戦略は初期には効果的に見えた」レース後、レッドブル・レーシング代表のクリスチャン・ホーナーは、角田の展開についてこう語った。「角田については逆の戦略を取った。1周目にピットインすることで、後方集団から抜け出す狙いだった。最初は非常に良さそうに見えた」「しかしその後、他チームが極端なスローペースで走行を始め、チームメイトのためにギャップをつくるという戦術が横行した」「結果として、角田は実質的にレース全体を同じタイヤで走ることになった。終盤になってようやく前方がクリアになり、非常に速いタイムを記録したが、それまではずっと“車列の囚人”だった。本当に厳しいレースだった」フェルスタッペンは真逆の「引き延ばし戦略」で4位一方、チームメイトのマックス・フェルスタッペンには対照的な戦略が採用された。ハードタイヤでスタートし、できるだけ引っ張った上でセーフティカーや赤旗を活用する「待ち」の姿勢でレースに挑んだ。「今日は少しギャンブルに出た。セーフティカーや赤旗が出やすいモナコでは、引っ張る価値があると判断した」とホーナー。「実際、マックスはレースの大部分をリードしていたし、ピアストリのピットアウト後の2周目で彼がスライドしたタイミングでは我々の方が並べそうな場面もあった。だが最終的にその瞬間を逃さずにステイする判断をした」「最終的に、赤旗やVSCを待って最終ラップでミディアムに交換したが、その展開は訪れなかった」フェルスタッペンはそれでも4位フィニッシュを果たし、限られた可能性の中でベストに近い結果を残した。
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