レッドブル・レーシング代表のクリスチャン・ホーナーは、F1モナコGPでのオーバーテイク不足を受け、今こそ伝統あるモナコ市街地コースのレイアウト変更を「検討すべき時が来た」との見解を示した。今年のモナコGPでは、レースに変化をもたらすための新ルールとして義務的な2回のピットストップが導入されたが、決勝78周を通してオーバーテイクは一度も記録されなかった。
優勝争いは激しい接戦となり、マクラーレンのランド・ノリスがフェラーリのシャルル・ルクレールの猛追を抑えて、2008年以来となるチームのモナコ勝利を果たした。レース後、報道陣の前に立ったホーナーは、率直な意見を述べた。「レース中にオーバーテイクは1度もなかったと思う」「だからこそ、ブレーキングゾーンをもっと設ける手立てがないかを考える必要がある。例えばトンネルの出口やターン1に、もう少し長いブレーキングゾーンを作れないか。とにかく、我々はそれを真剣に調査すべきだ」「今のF1マシンはあまりにも大きく、並んで走る余地がない。だから追い抜きの機会が生まれないんだ」「モナコも変わってきた、今こそ次の一手を」コース変更が現実的かどうか尋ねられると、ホーナーはこう答えた。「最終的には、すべてのものが時代に合わせて変化していかなければならないと思う」「モナコは象徴的で歴史あるサーキットだ。でも、これまでモナコがどれだけ変わってきたかを考えてみてほしい。海に土地を埋め立てて新しいエリアをつくってきたわけで、72回もここでグランプリが行われてきた中で、決して変わらなかったわけじゃない」「大規模な変更は必要ないと思う。ただ1カ所、オーバーテイクできる可能性のある場所があれば、それでいいんだ」「誰もがわかっていることだけど、このサーキットに来た時点で、レースの結果はほぼ土曜の予選で決まってしまう。だから我々はピット戦略に変化を加える新ルールを導入した。でも、結局トップ10の中で順位が変わったのはリタイアによるものだけだった」F1では2026年に新レギュレーションが導入され、車体サイズの縮小と軽量化が予定されているが、それがモナコでのレースにどう影響するかについて、ホーナーは冗談を交えて答えた。「小さいクルマ、例えばカートとかね」と笑いながら言い、「とにかく今のマシンはこのサーキットには大きすぎる。ほとんど並走することすらできない」「でも我々はここに来る。それはモナコだからだ。そして、この場所には特別な格式とステータスがある。だけど、やはりどこかで時代に合わせた進化が必要だと思う」「マーシャルたちは素晴らしい仕事をしてくれている。イベント自体は本当に見事なものだ。ただ、もし1カ所でもいいからオーバーテイクが可能な場所があれば、それだけでも素晴らしいと思う。F2や他のサポートレースでさえ、状況はほぼ同じだからね」2025年から試験的に導入された2回のピット義務ルールについては、レースに「多少なりとも面白みが加わった」と評価。「改善だったと言えると思う。戦略面ではより興味深くなったし、リスクも増えた。少なくとも去年のような単なる行進よりはよかった」「根本的な問題は、ここではオーバーテイクできないということ。しかも、クルマの本来のペースよりも3~4秒速く走れるのに、ドライバーたちはそれを抑えて周回しているんだ」